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キリ番リクエスト43210hit、まめこ様、大変お待たせいたしました!
ええと、リクエストしていただきました「連載設定の番外編で、キラ様によるキラ様のための妹君・レンの溺愛日記」を、書かせていただきました!
本当に番外ですが、宜しければお納めくださいませ!勿論、もうちょっと違う感じが・・・とか、凄くイメージと違う・・・と、お思いでしたら、改めて書き直させていただきますので、お申し付けください!
まめこ様、本当にありがとうございました!これからも、よろしくお願いします!
「昔は可愛かったのに…」
ぽつり、とキラが呟いた。横で同じ光景を眺めていたルークが驚愕の余りカップを落としかける。
「うお!あっぶねぇ、これ母上のお気に入りだからな、
無事でよかった・・・じゃねぇよ!おま、キラ?!
何か変なもん食べたのか?それとも熱でもあんのかよ?!」
寸でのところでカップを守ったルークが、安堵の溜息を吐く。
・・そこで慌てて立ち上がり、キラの額に手を当ててうろたえた。
普段のキラを知るものならば、十人中十人が同じ行動をとると確信できる。
ルークも勿論その行動をとった。
「・・なに、どうしたのルーク?そんな慌てて、熱なんかないよ?」
「ない訳ないだろ?!・・・だってお前が、あれ見て、そんな事いいだすなんて?!」
ルークが、その勢いのまま、今まで二人で眺めていた光景を指差す。その先には、
「・・・・それで、こっちはこう編んで、・・そうそう上手上手。
すごいねフローリアン、私より綺麗にできてるよ。」
「えへへへへ~レンの教え方が上手いからだよ~。完成したら、貰ってね!」
「私にくれるの?・・ありがとう。」
「・・・・っできました!レン様!見てください!」
「カイト?あ、本当。とても上手ね。
もう、皆器用だなぁ、私が教える必要ないんじゃない?」
「そんな!レン様が教えてくださったから、出来たんですよ!」
「そぉだよ~、もぅ、レンのそれだって凄く上手じゃない」
「まあ、一応前も作った事あったしね。」
きゃらきゃらと笑う少女と少年と青年。
ここはファブレ家の奥に設えられた、シュザンヌ専用の庭である。此処に入れるのはシュザンヌが特別に許可した人間だけであるため、キラもルークも親しい友人同士の気安い態度で談笑していた。二人から少し離れた場所に野草を残した小さな丘状の花畑があり、その中で戯れる三人を見ながらお茶を飲んでいたのだ。
三人とはキラの妹であるレンと、一年前にヤマト家で保護する事になったフローリアンと、ルークをマスターと仰ぐカイト。仲間内で専ら癒し担当だと言われている。どうやら、フローリアンが誰かから聞きかじった花冠の作り方をレンに習っているらしい。それを真似し始めたカイトも張り切って作っている。普段色々色々ストレスの溜まる
生活をしているルークとキラにとって、何よりも癒される光景。
・・・それを見ながら、妹であるレンを溺愛するキラが、先程のような言葉を発するのを聞いて、誰が平静を保てようか?!
「キラ?!お前本当に具合悪いんじゃないか?!
お前がレンを見て、可愛くないなんてよっぽど錯乱してなきゃ、」
「失礼な!レンが可愛くないわけないだろ?!何言い出すのさ!」
そこでルークの言葉を遮ったキラが立ち上がって詰め寄ってきた。
「いや、お前が言ったんだろーが!
あいつら見て、「昔は可愛かったのに、」とか!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・ああ!」
気圧されつつ反論したルークに、何やら数秒考え込んだキラが、手を叩いて再び椅子に座りなおした。そして優雅にお茶を飲む。
「いや、ああ!じゃ無くて!一人で納得してないで説明しろ説明を!」
「えええ~~~そんな、勿体無、・・・いやいや、面倒くさい。」
ちょっと待ってみたが続きがないキラに、今度はルークが詰め寄る。まあ、勘違いで凄まれて何事も無かったかのように振舞われたならルークの行動も当然だ。そんなルークを横目に見て、渋るキラ。途中何やら言いかけて、言葉を変えている。・・どっちにしてもルークに失礼な言い草ではあるが、キラの言葉の意味が気になっているルークはこめかみを引きつらせつつも聞き流して待つ。そんなルークに仕方無さそうにキラが話しはじめた。
「えぇと、さっきのは、レンが家に来たばっかりのこと思い出して。」
「レンが?へぇ、そういや昔の話は聞いたことねぇな。」
「まあ、色々事情があって話し難いこともあるしね。・・・で、その頃の話なんだけど、
「・・・あの、キラ、様。」
「レン?」
既に日付も変わった深夜の書庫に、控えめな少女の声が響いた。今まで仕事に集中していて時間を忘れていたキラが、驚いたように振り向く。そこには、先日キラが保護して妹としてヤマト家に迎え入れた少女が所在無げな表情で扉の隙間からキラを見ていた。
「・・どうかした?」
戸籍も何もない彼女を確実に保護するために、キラの実父の隠し子という事にして引き取った妹である。キラは気にならない、というか早く懐いてくれないかな、とまで思っているが、レンは未だにキラに遠慮して様付けで呼ぶ。まあ焦って怯えさせても、とおもって今は少しずつ歩み寄ろうとしている最中だ。
そのレンが、自らキラに声をかけるなど珍しい事である。仕事中癖になっていた眉間の皺を緩ませてうきうきと扉に歩み寄る。ずっと同じ姿勢で書類を裁いていたせいで固まった体が大きな音を立てる。凝った肩を解しながら、これが年という事かな、と未だ十代のキラが年寄りくさく黄昏ていると、再びおずおずとレンが話しはじめた。よく見ると扉の影に隠れた手に、何か持っているようだ。
「・・あの、キラ、様がお仕事中と伺いまして、
その、僭越だとは思ったの、です、が、その・・・」
視線を彷徨わせつつ、何か伝えようとするレン。
微かに頬が紅潮している必死な様子に、微笑ましさを感じてキラが待った。
「その、お茶と、夜食を、・・私が、作らせていただいたの、です、が。
・・宜しければ召し上がってくださいません、か?」
「夜食?・・君、が?」
「あ、あの!勿論、お口に合わなかったら、捨ててしまって構いませんし!
・・あの、いつも優しくしていただいている、お礼に、なれば、と」
一生懸命言い募る少女を見下ろすキラ。
緩みすぎる口元を押さえて視線を逸らす。
「・・・!あの、ご迷惑、でした、か?
・・・すみません、すぐに料理長さんに頼んで違うものを、」
「わー!待って待って、違う違う!」
そのキラの様子に勘違いしたレンが踵を返そうとするのを、慌てて引き止める。・・・嫌だなんてとんでもない!!
「違うって、・・・嬉しいよ!ありがとう!」
今にも捨ててしまいそうな勢いに急いでレンが持っていた籠を奪い取る。そして弾む足取りで部屋に少女を招きいれてテーブルにお茶を用意した。
「せっかくだから、君も一緒に食べよう。
・・・へぇ!凄いね、おいしそうだ。一人で作ったの?」
「あ、えと、はい。あ、勿論料理長さんに教えていただきながら、味見もちゃんとしましたし、不味くはないと、おもう、んですけど・・・」
キラに応えながら、再び自信が無さそうに語尾が弱まる。だが、実際お菓子の出来は大したものだった。この出来栄えならばパティシエの作ったものに劣らない。食べてみても甘さも風味もキラ好みで、どうやら料理長に教えてもらって何度も練習してから持ってきてくれたのが伺えた。中々仲良くなれないなあ、と密かに落ち込んでいたキラの気分が一気に浮上する。
「おいしいよ、本当に。・・・実は嫌われてるのか、とか思ってたから」
「えぇ!いえ、そのようなことは全く!!
あの、すみません、ただ、・・・申し訳なくて、」
慌てて顔を上げたレンが、再び俯く。
初めて会ったときに、勇ましくキラを助けてくれた少女が、本来は酷く人見知りをする性質らしいと知ったのは、再び目覚めた彼女に事情を聞いた後である。だから、すぐに打ち解けるのは無理かも、と思っていたので、本当に嫌われていると考えたわけではない。・・・あんまり怯えているのちょっと苛めて見たくなったキラの冗談である。だが本気にされて落ち込ませるのはかわいそうなので直ぐにフォローする。
俯いたレンの頭を優しく撫でながらキラが笑う。
「嘘だよ、まあ、早く仲良くなれたら、とは思ってたけど。焦らなくていいから。
大丈夫、君の事は、僕が守るよ。・・・僕は、君を絶対に傷つけないから。」
「-----っ!」
「って、ええ?!ご、ごめん?!なんか悪い事言った?!」
キラの言葉に、呆然と顔を上げたレンの瞳から、涙がこぼれた。
静かに落ちた滴は、室内灯の光を反射してまるで輝石のように輝いた。
一粒だけ落ちて、あとは続かなかったが、泣かせた、という事実に慌てるキラはごしごしとレンの頬を擦る。
(xxx姉さま、と同じ事を、言ってくれるんです、ね)
心に浮かんだ呟きは意識に上らなかったけど、キラの言葉は、レンの心の一部を優しく溶かした。
だから、その思いを伝えようと、そのキラの手を、そっと抑えて、ぎこちなく口を開いた。
「・・・ありがとう、ございます。・・・・・キラ、兄さま。」
花が綻ぶように柔らかく微笑んだレンが、顔を覗き込むキラを見上げて、つっかえながらも、キラをよんだ。
・・初めて、レンが、キラを、兄と呼んだのだ。
「・・・・てな事があって!
いやいや今思い出しても可愛かったよ、あの時のレンは!!まるで怯えてる猫とか見たいでさぁ!そのこが、控えめだけどこうふんわり笑いながら、「兄さま」って!!・・・・聞いてるの?!ルーク!!」
ばしばしとテーブルを叩きながら語るキラ。対するルークは半眼になっている。
(キラ・・・相変わらずだな・・・ちょっと落ち着けよ。)
「・・・いや、うん。確かにその話の中のレンは俺も可愛いと思うよ。
・・でも、なんでそれが昔は~になるんだよ?」
そして最初の疑問に戻る。
「だからさ、今の、あんな風に明るく笑ってるあの子も勿論可愛いけどさ!あの時の、控えめなレンの笑顔も可愛かったな~~~と思い出して。 なんていうか、儚げ?な感じで、まだ幼げなあの子が、一生懸命手作りのお菓子を差し入れながら、そんな風に笑いかける様子を思い浮かべてみなよ!!・・・・可愛いでしょう?!」
「・・・・・ああ、成る程。確かに。それは、かなり可愛いな。」
「だよね!うんうん、ルークならわかってくれると思ってたよ。」
「そりゃ、母上やカイトも同意見だと思うけど。・・・教えてみれば?喜ぶと思うぜ?」
「え、やだよ。勿体無い。」
同意したルークに嬉々と応えたキラだが、続いた言葉にはきっぱりと首を振る。
「は?なんで、俺には今はなしたじゃねーか」
「まあ、今は、ね。
・・・けど、やっぱ勿体無いよ。だから、内緒。ルークだけには特別だよ。」
今までの興奮振りが嘘のように兄貴分の表情でルークに笑う。妹馬鹿の癖に、と赤い頬を隠して悪態を吐くルークだが、こういうキラからの特別扱いが実は嬉しいなんて、きっとばればれなんだろう、と睨むように見返した。案の定微笑ましげにこちらを見る菫色と視線が合う。
「(くそ!)・・・お茶のお代わり!次はキラが入れる番だろ!」
「はいはい、リクエストは?」
「任せる!早くしろよ!」
「了解」
気恥ずかしさを誤魔化すために、乱暴にカップの中身を飲み干してキラに突き出す。友人同士のお茶会のルールどおり、順番に淹れているお茶を理由にキラを追い払った。何もかも見透かす瞳で笑うキラが立ち上がって東屋に引っ込む。そこに道具が用意されているのだ。
そこに向かうキラの、余裕に満ちた背中が気に入らなくて悔し紛れにルークが叫んだ。
「くっそ、あ~~~~もうこのシスコンめ!!
一生そうやってて婚期逃してしまえ!!」
突然の叫びに驚いたレンたちが注目する中で、キラの笑い声が響く。
それに食って掛るルーク。楽しそうなじゃれあいを眺めるレン。楽しげなフローリアンとカイト。
そんな日常
「あらあらあら、可愛らしい事・・・・まるで全員が兄妹みたいね。」
そして、それを入り口から見守るシュザンヌ夫人の口元には微笑ましげな笑みが。
「ではシュザンヌ様が母上ですね。」
応えるディストもゆったりと笑いながら眺める。
「・・・・・・ディスト、アンタもまるで母親みたいだよ、その表情」
後ろのシンクが呟いた。
「あら、勿論シンクも可愛い自慢の私の息子ですわよ?」
「勿論私も貴方を大事だと思ってますよ。安心なさい」
「・・・・・!勝手に言ってなよ!」
真っ赤な顔を誤魔化すようにじゃれあいに突進するシンク。見送る大人組みが、もう一度呟いた。
「「本当に、可愛い子ども達ですわね(ねぇ)」」
・・・・・・そんなある日の平和な風景だった。
[リライト] 様の兄妹に10の御題を使用させていただきました。 http://lonelylion.nobody.jp/
おい、あの男は誰なんだ!
お兄ちゃんは過保護過ぎます。
やっぱり可愛い…自分に似てなくて。
弟(兄)離れしろよ、お前
毎日一つ屋根の下
兄弟喧嘩は盛大に
勉強教えて
おそろい
でもやっぱり好き
で、いつかこのシリーズを書いてみようと思ってたり思ってなかったり・・・
いえ、あんまり嬉しいリクエストを頂いたので、つい。
なにはともあれ、ありがとうございました!
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書きたい物を書ける時に好きに書き散らしてます。文頭には注意書きをつける積りですので、好きじゃない、と思われた方はこのHPを存在ごとお忘れになってください。(批判とかは本当勘弁してください。図太い割には打たれ弱いので素で泣きます)
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