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主人公総受け至上主義サイトです。特にエ/ヴ/ァの・碇・シ・ン・ジ・の女体化verが贔屓されてます。EOE後女体化したシンジが他世界へ渡る設定のクロス作品がメインです。(で、他作品キャラに物凄く愛されてます。)
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注記:♀シンジ(=碇レン)in N/A/R/U/T/O のクロス作品です
    スレナル設定でお送りいたしております。


++

 

 

一方その頃、ナルトを抱えた少女は今更のように冷や汗をかきながら必死に走っていた。
ナルトを助ける事には後悔はなかったが、一度激昂すると見境なく突っ走る己の行動の無謀さに少々どころでなく落ち込んでいるのだ。あそこで下手をうっていたら自分はともかくナルトがさらに酷く傷つけられていたかもしれない。彼らの攻撃が自分に向けられた結果何があったとしてもそれは自業自得だが、仮にも助けに入ってナルトが更に傷つくなどと本末転倒もいいところである。

ああやって正当性を掲げて理不尽に暴力を振るう輩の行動パターンは身をもって知っている。黙って耐えていれば笠にかかって残虐さをいや増すくせに、耐えかねて反撃すればこちらの非だけを取り上げて己の正義を押し付ける。どちらをとっても悪いのは標的となった存在で、どれ程傷つけられたとしても加害者はこちらのほうとされるのだ。その者を助けたりした者も同様に、罰せられる対象となる。そんな事はわかっていたが、目の前で嬲られている小さな子どもを見捨てる事は、どうしてもしたくなかった。 


(・・・かといって殆ど反射的に乱入したのは、
 ・・・少しどころでなく拙かったよね。やっぱり。)


小さな子どもに暴力を振るう男達の姿を見た瞬間に我をわすれて乱入してしまったが、ともすれば一瞬で混じっていた上忍達に返り討ちにされたかもしれないのだ。無事だったのは一重に自分が子どもであったため彼らが油断したからだろう。正攻法での突破は無理だと判断し、一か八かの強攻策にでたがどうやら成功したようだ。念のため気配を探ってみるが男達は追ってこない。完全に意図したとおりにいっているなら、今日の事も忘れて取りあえず報復や逆恨みされる危険もないはずだ。


(・・・ないよ、ね。多分。うん、ちゃんと成功したはず!!大丈夫、大丈夫!!)


熱を持って疼く両手を意識しつつも強引な自己暗示で己の気分を浮上させる。でないと何処までも自己嫌悪でしずんでいきそうだ。取りあえずの精神安定に成功してから、改めて抱えている子どもに目を落とす。どうやら展開の速さに再び混乱して固まっているらしい。無防備に晒されたこどもの表情は可愛らしかったが、相手はけが人である。何時までもこんな乱暴な扱いをしていて良いわけがない。怪我の手当てをするべきだったが、ならば自宅に連れて行ってもいいだろうか、と考えていると、そこで色々な思考の渦から抜け出したらしい子どもが猛然と暴れだして足を止めざるをえなくなった。

 

+

 

ナルトは、本気で混乱していた。なんだろう今の状態は。今日はいつもと変わらない普通の日だったはずだ。安全の為といっても監禁に近い生活をしなければならない火影邸より、多少(どころではないが)危険でも外にでて散歩くらいはしたい、と思って里人が殆ど近づく事の無い森に行くために外出した。そこで運悪く(未だにうまく気配を消しきれないため殆ど毎回だが)性質の悪い男たちに見つかり暴行うけた。下手に反撃すれば彼らの暴力が激しくなるし、こっちが反対に暴行罪で掴まることもあるから大人しく耐えて彼らがあきるのを待っていた。そう、いつもならそんな自分を冷笑や嘲笑を浮かべて見下ろす野次馬が通りかかる事があっても、暴行を止める人間など居なかった、のに。


(なんだ、なんなんだ?なんでオレは初対面の女に抱えられて走ってんだ?
 ・・・て、ぅぇぇぇ!!?)

 

改めて自分が少女の腕に抱かれている現状を認識して恥ずかしさと混乱で手足をばたつかせる。・・が、ナルトよりも年かさといっても十歳やそこらの少女の細腕のなかで、幼いといっても物心付く程度の成長はしている幼児が暴れたりして、安定を保てるわけが無い。ということは、


「って、ちょっ、まって!!
 降りたいなら降ろすから、少し落ち着いて!!~~~っうきゃぁ!!」

「~~~~~~っ!うわっ!!」


こうなるに決まっている。

暴れるナルトを地面に落とすわけにもいかず、かといってバランスを保ちきれるわけもなく、二人で重なるように仰向けに引っ繰り返ったのだ。ナルトの怪我に響かないようになるべく衝撃を殺して小さな体を抱えたまま倒れる事は出来たが、自分の傷まで気を回しきれなかったらしい少女が、無言で痛みを堪えている。その様子をみて、些か慌てたらしいナルトがおろおろしながら顔を覗きこんだ。

その必死な様子をみた少女は、半ば無理やり痛みを思考の外に追いやってナルトに向き直って笑ってみせた。実際、この程度の痛みなら"昔”も今も不本意ながら日常茶飯事である。神経や骨まで傷ついているほどではないのだ。それより、目の前の子どもの方が如何見ても重傷なのだから、と考えて笑顔のまま口を開いた。


「ごめんね、少し乱暴にしちゃったけど具合はどうかな?痛いのは-- ぇぇと、全身だろうけど何処が一番痛いとかある?取りあえず手当てしようと思ってたんだけど、私の家でもいいかな?それともナルト君のお家に行ったほうがいい?そうするにしても、取りあえず応急処置くらいは済ませたいんだけど、いいかな?」

 

そこまで一気に捲くし立てた少女は、ナルトが表情を変えたことに気付いた。今まで慌てていた事もあって年相応の少年らしい様子だったのが、酷く緊張したように険を含んだ硬い表情でこちらを睨みつけている。


「・・・あんた、オレが”うずまきナルト”だって知ってるんだよね。」

「え、あ、うん。あぁ、そっか。私は碇レンっていって、ええと一応今は下忍の-- 「そんなこと後でいい」-- えっと、そう?・・・・あ、ごめんね。うずまき君ってよぶべきだったか-- 「そうじゃなくてっ!!」 ぅぁっ、はい!」


警戒も露わにこちらを睨むナルトの様子に、どうしようか、と呑気に考えながら取りあえず自己紹介をしてみた少女--レンは、言葉を途中で遮られて姿勢を正す。名前を知っているからと気軽に呼んでしまったが、初対面の人間に馴れ馴れしくされて気分を害したのかと謝ってみても、そちらも外れていたらしい。一方向に思考を固定すると他の事に気を回せなくなる自分の悪癖を自覚だけはしていたレンは、また何か失敗したのかとびくびくしながらナルトの言葉をまった。だが、そんなレンを鋭く観察していたナルトは、彼女の言葉にも行動にも何の作意も無いことを察したらしく  (って、いうかこいつ天然か?) ひどく脱力した様子で口を開いた。


「---そうじゃ、なくて。 ・・・・なんで、オレを助けたりしたんだよ。
 オレがナルトだって知ってるんなら、そんなことしてどうなるかも知ってる筈だろ。」


力なく溢されたナルトの言葉に、レンは目を瞬いた。今のナルトの言葉は遠回りであっても、レンを心配するような響きを含んでいて、それが意外だと感じてしまったためだ。別段ナルトが薄情な人間だと思っていたわけではない。ただ、彼が幾ら状況的に助けられた相手とはいえ、初対面の人間に僅かであってもそういった気遣いをしてみせたことがレンにとっては想定外の反応だったというだけだ。それは、彼の境遇を鑑みれば当然持つべき、見知らぬ人間に対しての疑念や警戒を後回しにしてまで、レンの身を気遣ってくれたということだからだ。そのナルトの優しさは、自分には決して出来ない彼の強さの証でもあった。

 

「ありがとう、ナルト君。優しいんだね。」

 

けれど、それがとても嬉しかったから思わず満面の笑みでお礼を言った。殆ど反射的な行動で深く考えないまま言ってしまってから、これじゃ質問の答えになっていない事に気づいて少し慌てる。ナルトの方も、脈略のない返事を返され唖然とした顔でこちらを見返す。次の瞬間にはたちまち顔を赤くして勢い良く食って掛かってきた。狼狽えている所為か、少し支離滅裂な言葉になっているナルトに謝りながら、改めて己の思考を整理して返答の言葉を探した。

そもそもナルトが初対面の人間に気を許せる環境で生きていたわけではない事は今日の一件で理解した。今まで直接関われる環境にはお互いが居なかったため、彼についての里人達の憎悪の欠片を見聞きすることはあっても、それが具体的にどういったものなのかは理解していなかった。それがどれ程愚かなことだったのか、あの場面を目撃して衝撃とともに思い知った。最初にあの場を通りかかった時に、小さな子どもを寄って集って嬲り者にする男たちの行動に怒りを抱いたのは事実だったが、あそこまで激昂したのはその子どもがナルトであると気付いたからだ。「里人の憎悪の対象として生かされた九尾の器」であるナルトの現状を、実際に目で見て初めて衝撃をうけたと言う事実そのものが蒙昧さの証のようで、己に対する怒りと侮蔑も相まって一瞬で限界まで頭に血が昇ってしまったのだ。


(・・・私だって、彼の犠牲を知っていて何も知らずに平和に生きた。他の里人を責める資格など無い癖に。)


九尾の襲来で、家族や友人を喪った人は多い。
むしろ、誰一人近しい人をなくさなかった人間を数える方が早いくらいだ。

自分もあの夜、母親と、生まれるはずだった弟妹を亡くした。複雑な感情を抱いてはいたが、それでも家族として生きていた人が欠けた家に感じる寂しさも、喪われた人にはもう二度と会うことが出来ない現実も、悲しみと痛みを伴って心を傷つける棘のようだった。ならば、本当に愛し合っていた家族や友人を亡くした人達にとって、その喪失はどれ程深い傷なのかと思う。その痛みを誤魔化すために、悲しみを憎悪に変えてしまった里人達の情動が理解できないわけではなかった。”過去”の記憶の中で、あの破滅への計画を実行した”父”と、世界全ての滅亡を承知の上で傲慢な計画を創り上げた”母”を。大切だと思えた全てを奪った計画と、それに関わる全てのものを。確かに自分も憎んでいるから。その感情の変遷に対しては、反発よりも共感する思いの方が大きく思考を占めていた。・・・それでも。

 

「おいっ!! 聞けってば!」


どう返事をしようか考えている内に思考に嵌って黙り込んでしまったレンは、訝るように再び声をかけたナルトに気付いて我にかえった。事ある毎に内に篭って何処までも後ろ向きに思考を展開させるのは、”過去”から言われ続ける己の悪い癖だった。何一つ己を省みないよりはマシかもしれないが、問題点を取り上げるだけで解決に至っていない以上は只の逃避行動と大して変わらないだろう。成長のない自身の情けなさに内心で嘆息しながら、今の状況を思い出してきちんとナルトに向き直る。


「ええと、ごめんなさい。理由、だったよね。えっと、
 ・・・ナルト君が、あんな風に傷つけられているのを見ているのが、嫌だったから。」


会話の途中で思考に没頭してしまった非を詫びてから、改めて言葉を探す。けれど結局見つけた答えは、何処までも自分本位な勝手な理由で、一瞬だけ言葉に詰まった。そんな己を嘲りながらナルトの問いへの答えを返す。ナルトは、その様子を感情の窺えない深い視線で黙って見ていた。

 

「自分が、それを見たくないから、その為に助けたの。」

(九尾を憎む皆の気持ちが理解出来ないわけじゃない。
 けど、それはナルト君を傷つけていい理由にもならないでしょう。)

(だって、この子はただの器で。九尾を止めるために、最大の犠牲となった里の恩人。
 ナルト君が居なければ、この里はあの夜壊滅していて、皆死んでいたはずでしょう。)

(ナルト君の存在に、九尾を思い出して感情に歯止めがかけられない理屈はわかる。
 わかってしまう。未だに父上にも母上にも、”父さん”と”母さん”を重ねてしまう私が
 責めていいことじゃない。)

 

大切な人達を失った原因が全て”両親”にあるとは思っていない。確かにあの計画の最中に大切だったものを皆なくした。けれど、大切な少女を助けられずに死なせたのは自分の弱さで、彼女の同胞から逃げて傷つけたのは自分の愚かさで、大切な友人を殺してしまったのは自分の卑劣な幼稚さだった。あの時の戦いを、全て辛いだけのものにしたのは自分の所為であったけど、だからといって全てを画策した”両親”に対する怒りと憎しみが薄れる理由になりはしないのだ。その想いが消えない以上は、この世界に存在する”両親”の平行存在である両親に抱いてしまう複雑な感情も消える事はない。それがどれ程勝手な言い分かも理解だけはしていたが、未だに改善する事が出来ていない未熟さだった。そんな自分が、九尾に対する怒りと憎しみを抱き続ける里人達にいえる事などある筈も無い。

 


(だけど、この子に全ての矛先を向けてしまうのは間違いだと、思うから。
 あんな風に憎しみと怒りの捌け口に、無抵抗のナルト君を嬲り者にすることが
 正しいなんて、どうしても思えないから。)

(この子の中に九尾が居るのは本当だけど。
 だからってこの子を傷つけても、それは九尾に届くものじゃない。
 ならば、それはただの八つ当たりと如何違うのか、私にはわからない。
 もしも、ナルト君に対する攻撃が、九尾にも届いてしまうものだとしても、
 ナルト君が巻き添えにされていい事でもない。)

(自分を棚上げしていると言われても、やっぱりそれは違うでしょう。
 ・・違う、と思う。だから )


「だから、止めたの。
 ナルト君が傷つけられて良い理由なんて無い。
 あんな風に暴力を振るわれて、黙って受け入れなければならない理由なんて無い。
 ・・・あんな風に、ただ耐えているナルト君の姿を見るのが、嫌だったから。

 ・・全部、私が勝手にそう思ってしたことだから、
 ナルト君が気にする必要はないんだよ。」

 

そっと、吐息のように幽かな声で答えたレンは、澄んだ青を真直ぐ見詰めて淡く笑った。彼女は自嘲の笑いの積りだったが、傍から見ればそれは消えてしまいそうなほど、酷く儚い笑みだった。最後まで身じろぐことなく少女の言葉を聞いたナルトは、そこで静かに目を伏せた。同時にナルトが纏う空気が変わる。ひどく重くて、冷たく鋭い雰囲気は、まるで永久凍土の氷のようだ。レンは、それをナルトの怒りゆえの拒絶と信じて、心の中で嘆息しつつ呟いた。


(ああ、やっぱり怒らせちゃったよね。
 ・・・手当てくらいは先に終わらせてから話せばよかったかな。)


こんな利己的な理由で助けられたなど、ナルトにとってもいい迷惑だろう。確かに今日の危機は脱したが、それとこれとはべつの事。だから、ナルトの怒りも当然のものとして受け入れて、罵倒の言葉と軽侮の視線を覚悟する。けれど、聞こえた台詞はそのどちらにも当てはまらない、とても柔らかな声で綴られたものだった。

 

「・・・・ばっかじゃねーの?」

 

 

++

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ここは女体化シンジ(碇レンorシオン)溺愛サイトです。クロス・逆行・分岐に関わらず、レンorシオンが贔屓・溺愛されてます。(クロス作品では他作品のキャラと恋愛有(むしろメイン))
書きたい物を書ける時に好きに書き散らしてます。文頭には注意書きをつける積りですので、好きじゃない、と思われた方はこのHPを存在ごとお忘れになってください。(批判とかは本当勘弁してください。図太い割には打たれ弱いので素で泣きます)



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