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注記:♀シンジ(=碇レン)in N/A/R/U/T/O のクロス作品です
スレナル設定でお送りいたしております。
更に注記:このシリーズは、ナルト×碇レン傾向基本のお話です。
苦手な方はご覧にならぬよう、お願いいたします。
「火影を越す! ンでもって 里の奴ら全員にオレの存在を認めさせてやるんだ!!」
++
「・・・・だって。ナルトってば言うわね~。
ねぇねぇサスケ君とサクラの顔見た?
一瞬でも見とれちゃったのが悔しかったのかしら。」
「ったく、見ろよ。
カカシのヤローも呆けた顔してるぜ?よっぽど意外だったんじゃねぇ?」
「あははは、まぁ、ナルトだもんね。
流石のカカシ上忍も無関心のままではいられないんじゃない?」
木の葉の里で最も警備が厳重な筈の火影執務室に唐突に明るい子ども達の会話が響いた。今日やっと下忍になった孫のような少年がどうしても気になって、十八番の遠眼鏡の術で担当上忍との顔合わせの様子を覗いていた三代目火影の背後に、当たり前のように陣取って軽快な会話を続ける三人の子ども達。幾ら子ども達に害意がなく、己も水晶球に集中していたとはいえ、全く気配を悟らせなかった三人の成長に舌を巻く三代目。内心では幼い頃から見知った彼らの成長を嬉しく思いながらも、軽く眉間に皺を寄せる。そんな彼のことを半ば放置して、水晶球の向こう側に夢中な三人。金色の少年属する七班の面々を揶揄しながら、とても嬉しそうで誇らしそうな瞳で顔合わせの場面を見守る。ナルトと同年であるというのに、その表情はまるで弟を可愛がる兄姉のような慈しみに満ちている。
「メンバーがメンバーだからちょっと心配だったんだけど、
この調子なら大丈夫そうかしら。」
「あぁ?ナルトなら上手くやるんじゃねェ?
あの写輪眼のカカシが担当っつぅのはひっかかるけどよ。」
「平気でしょ。僕達も出来ることはフォローするし。」
強く気高い金色の少年が、本当に望む事を知っている。幼い頃初めて会った時から、ずっと自分たちの心を掴んで離さない彼の強さと輝きそのままに、太陽すらも従えて眩く笑うその姿はまるで至高の王のよう。木の葉の里の、暗く深い闇の中に生きることを強いられながら、決して影に埋もれることなく輝き続ける彼の姿は自分たちの目標だった。その彼が、新しい道の第一歩である下忍班の仲間たちに向かって笑う姿に、ほんの少しの嫉妬と安堵を交えて。火影執務室に侵入した子ども達は、遠くを映す水晶球を囲んで笑った。金色の少年を信頼しつつも心配を捨て切れなかった自分たちの過保護さに感じる気恥ずかしさを誤魔化すように、軽快な言葉を交わす。
が、そこで咳払いの音が響いた。部屋の本来の主でありながら、余りに自然に存在を忘れられていた三代目火影である。 とはいっても、実はこんな事は日常茶飯事だ。未だ十二歳という年少者でありながら、既に木の葉の里でトップレベルの実力を誇る”影”の最強暗部である彼らの力は、老年となった自分と拮抗・或いはすでに追い越されている。気配の一つや二つ隠し切るくらいのことはもう難しくもないのだろう。 だが、可能だからといって里最高の機密を抱える火影執務室に気軽に出入りし、尚且つ談話室代わりにされて良い訳が無い。無駄とは知りつつも取りあえずお決まりの台詞を放つ三代目。
「おぬしら・・・・何故ここにおるんじゃ。
お前達も担当上忍との顔合わせがあったはずじゃろう。」
まずはとばかりに三代目が子ども達に訊ねるが、返って来たのは明快で単純な一言だった。
「「「そんなの、とっくに終わりました(終わったぜ・終わったわよー)」」」
当然である。下忍担当上忍との顔合わせが始まったのは午前中だ。当の昔に正午を過ぎた今になっても終わっていないのは遅刻常習犯の担当上忍をあてがわれた七班の面々だけであった。そして火影の質問の本意を知りつつ適当に煙に巻こうとする子ども達。連携プレーもバッチリだ。
「いいじゃないですか火影様ー。
私たちだってナルトの様子を見たかったんですよー。」
子ども達の紅一点。淡い琥珀色の髪の勝気そうな少女が口を尖らせて言えば、
「そっすよ、大体火影様だって気になってるから水晶球使ってみてたんでしょ?
ついでに俺たちにも見せてくれたっていいじゃないっすか。」
長い黒髪を後ろで括った釣り目の少年がやる気のなさそうな顔で、ぼそりと付け加え、
「僕達じゃあ近くまで行くとナルトに気付かれちゃいますし。
あんまり気を散らすような事して邪魔したくないですもん。」
と、ふくよかな体型の少年が穏やかに笑いながら続ける。
そんな子ども達の言葉を聞いて疲れたように嘆息する三代目。そもそも自分もナルトのことが気になって水晶球で覗いていた身である。余り強く反論は出来ず、心持ち項垂れて子ども達の名を呼んだ。
「イノ、シカマル、チョウジ・・・・
だからといって気配を隠して忍び込むような真似はよせと、何回言えば・・・」
あっさりとあしらわれたことに疲労を覚えつつも、何回か繰り返したお小言を口にする三代目。だがそんなことで大人しく聞くような三人ではない。
「あはははは~いいじゃないですか。いつもの事ですし~」
琥珀色の髪の少女・・山中イノが朗らかに言えば
「大体表からだと変化しなきゃならないじゃないっすか。めんどくせー。」
黒髪の少年・・奈良シカマルがぼそりと呟き、
「どうせ正規ルート通る時だってある程度隠遁しなきゃならないんですし。
だったら、こっちの方が早いじゃないですか。」
ふくよかな少年・・秋道チョウジが笑顔で続ける。
流石親子二代に渡って猪鹿蝶トリオの名を受け継ぐ幼馴染同士。一糸の乱れもなく反撃する。まるで打ち合わせでもしたかのように滑らかな協力攻撃。
口々に言われてこめかみを押さえる三代目。遠い目をしつつ昔を振り返る。
(ああ、昔はあんなに素直で可愛かったのにのぅ・・・)
現実逃避と記憶の美化が成されているが、子ども達は昔からこんなノリである。素直な幼子であったことなど殆どない。そしてそんな三代目の内心を看破して呆れる三人。目を見交わして軽く嘆息する。
と、そこにノックの音が響く。一瞬気配に気付かなかった三人が慌てるが、すぐに誰が来たのかを悟って満面の笑みで扉に向き直る。一人だけ気配に気付いていた火影も穏やかな笑みを浮かべて入室を許可した。
「入れ」
「-- はい、失礼します。アカデミー第二医務室勤務、碇レン。
今期アカデミー卒業生の身体データ及び総合調査書を届けに参りました。」
カチャリ、と静かに扉を開いて入ってきたのは白衣を纏った年若い女性。漆黒の髪を一つに結わいて飾り気の無いシャツとパンツを身につけた、十代後半位の少女--レンが火影に書類を渡す。火影が書類を確認している間、楽にするよう手で示され、子ども達に向かって微笑んだ。
「おお、すまんのうレン。目を通す間そちらで待っていてもらえるかな?」
「はい、では失礼して。
・・・こんにちは、イノ、シカマル、チョウジ。三日ぶりかな?」
レンに微笑みかけられ嬉しそうに駆け寄るイノとチョウジ。シカマルはゆったりと歩み寄るが、その顔は珍しく眉間のしわもなく口元に笑みを湛えている。
「レンさん!!お久しぶりです!!三日も会えなくてさびしかった!!」
「ったく、イノのヤツ。たった三日で大げさだな」
「あははは、夜の任務と卒業試験でちょっと時間なかったからね。」
大げさに訴えてレンに抱きつくイノを見ながら言うシカマルにチョウジが笑って答える。殊の外レンに懐いている幼馴染の少女が、過剰なほどにスキンシップを図るのは何時ものことである。それに優しい姉のように自分たちを見守ってくれるレンを好いているのはイノだけではない。流石に抱きつきはしないが団欒の輪に加わろうとシカマルとチョウジも口を開いた。
「うふふ、私もイノに会えて嬉しいよ。もちろんシカマルとチョウジもね。
三人とも、怪我とかしてないよね?」
懐いてくるイノを抱きしめ返しながら笑って訊ねるレンに、頬を紅潮させて答えるイノ。まるで飼い主にじゃれ付く子犬のようだ。
「勿論です!!どっちの任務も簡単なのばっかりですもん!!
怪我なんかしてレンさんに心配かけたりなんかしません!!」
「あー、まぁそんな難しいのもなかったですし。」
「うん、昼はアカデミーでの護衛っていっても、皆も一緒に居るからね。」
「そっか、よかった。皆まだ若いんだから、あんまり無理しようとしちゃ駄目だよ?
今から無理に体を酷使すると、成長しにくくなったりするからね。」
明るく答える子ども達に言いながら、少しだけ心配を滲ませる。この年で暗部に在籍するほどの実力を持つ三人を、子どもだからと侮るわけでもなく、幼いからと庇護しようとするでもなく、ただ当たり前のように一人の人間として心配してくれるレンが、三人にとってもとても大切な存在だった。両親や幼馴染や火影様とは別の位置から、そうっと静かに見守ってくれる彼女が居てくれるからこそ、今の自分たちがあるのだと思う。そんな彼女の穏やかな気遣いに頬を緩ませる三人。特にイノは更に力をこめてレンに抱きつく。レンの方も子ども達から懐かれるのが嬉しいらしく優しくイノの髪を梳いている。と、そこで疑問に思ったのか、レンが少しだけ不思議そうに口を開いた。
「ところで、三人とも火影様の執務室で何してるの?
気配は消してたけど、その様子なら任務の話ではないんでしょう?」
イノに抱きつかれたまま小首を傾げるレンに、ちょっと視線を見交わす三人。表裏の立場を両方知っているレンになら大抵の事は何を話しても問題ないが、今回は完全な私用である。内容が内容だけに正直に理由を口にするのも照れくさい。要は、三人ともナルトのことが気になって様子を見るために火影の水晶を覗きにきたのだ。だがレンならからかったり笑ったりはしないだろうと、おずおずと口を開いた。
「ええっとですね、ちょっと気になることがあって、
火影様の水晶を覗かせてもらいに来たんです。」
「あ~、ほら今日下忍班の担当上忍との顔合わせじゃないっすか。」
「僕達は午前中に終わったんですけど、他の皆はどうかな~と。」
代わる代わる説明して照れたように眼を泳がせる三人。レンは、そんな可愛らしい様子に頬を緩め、くすり、と笑う。
「そっか、三人とも優しいね。」
「、っ いえ、そんな」
「ぁ~~」
「はは、」
頬を赤くして俯く三人の頭を撫でる。そこで書類を確認していた火影が言葉を挟む。
「あぁ、レン。報告書は確かに受け取った。ご苦労じゃったな。」
「はい、ありがとうございます。」
「今日はもう上がってよいぞ。
この報告書と卒業試験の準備でここ一週間殆ど帰宅してないじゃろう?」
「え、いえですが・・・」
火影に向き直るために名残惜しそうなイノを放して姿勢を正すレン。残念そうにしつつも仕方なく離れるイノ達を横目で見つつ労う。生真面目に礼をするレンに、穏やかに笑う火影が退勤を許可する。それに喜色を表す三人の子ども達と、躊躇うレン。その躊躇いを遮って火影は続ける。
「構わん。
こちらの仕事の方も、卒業試験の準備に入る前に纏めて片付けてくれたじゃろう。
その分の余裕があるから明日明後日くらいは休め。お主は少し働きすぎじゃ。」
言いながら執務机の脇に置かれた鍵付きの書類箱を示す火影。そう、実はレンは火影の臨時秘書も兼任していて、執務の補佐から暗部の任務振り分けまで幅広い書類仕事を任されているのだ。年若い少女ながら、既に事務担当の忍達の中では随一の処理能力を誇るレンであるから、その火影の言葉は破格のものと言っていい。しかし事務仕事というものは幾ら先に先にと処理しても、新しい仕事が無限に増え続けるものである。レンもそれを知っているから、他の者達の負担を考えれば火影の申し出を素直に受け入れることを躊躇してしまう。普段なら何を言っても休暇を辞退しただろうが、今日は火影に味方する者が居た。
「良いじゃないですかレンさん!!
只でさえいつも忙しくってゆっくり休む暇も無かったんですし。」
「そっすよ、幾ら内勤だとはいってもあれ以上働くとそれこそ過労になっちまいますよ。」
「無理しすぎるのも駄目なんでしょう?いつもレンさんが言ってることですよ。」
「え、っと、でもね・・・」
勢い良く捲くし立てられて押され気味のレンにここぞとばかりに追撃する三人。顔を合わせるといっても、お互いの仕事の都合や予定のすれ違いが重なって、滅多にゆっくり過ごせないレンが、珍しく纏まった休暇をとる。こんなチャンスをみすみす逃す三人ではない。
「そりゃ、ナルトみたいに殆ど一緒に暮らしていればいいかも知れないですけど、
私達は余り時間も合わせられなくて滅多に一緒に居られないじゃないですか!!」
「これから下忍班の活動が始まったら、昼間顔を見ることも出来なくなりますし・・」
「一緒にお昼食べたりとかも難しくなっちゃいますもん。」
「・・う~ん、と・・・(一緒に暮らしてるっていうか、偶に薬を取りに来てそのまま泊まることがあるくらいで・・。皆の場合はご家族もいらっしゃるからあまり食事とかに誘うのも申し訳ないし・・・。ああ、お昼休みに一緒にお弁当食べられないのは確かに寂しいな・・・。)」
寂しげな顔で迫る子ども達に強く出られないレンは、内心の呟きを口に出す暇も無く陥落寸前である。そこで、最大の援護射撃が送られる。
「・・・・ナルトにも、裏の任務の休暇を与える。
今回の卒業でアカデミーの護衛任務も一区切りついたことだしの。
明日も表の下忍試験のみとする。無論他の影達も同様で構わん。
・・・・・・・そういうわけじゃ、ナルト。」
「・・へぇ、気前良いじゃん。
じっちゃんってば、なんか悪いモンでも食ったの?」
ふ、っと新しい気配が生まれたと同時、軽やかに舞い降りる鮮やかな橙の小柄な影がレンの横に並ぶ。今までレンの説得に夢中だったイノ達三人は元より、説得されてる最中だったレンも一瞬驚いて動きを止める。流石は老いても火影というべきか、完全に消していなかったとはいえ、現木の葉最強の実力を誇る”影”暗部総隊長であるナルトの気配に始めから気付いていた三代目はその憎まれ口に苦笑しつつ言葉を続けた。
「まあ、偶にはな。お主らにはいつも忙しく働いてもらってるしのう。
卒業祝いだとでも思ってゆっくり休め。」
「んじゃ、ありがたく。・・・・・で、レンも休むよな?勿論」
火影の言葉ににやりと笑って傍らの少女に殆ど断定する口調で問うナルト。そんなナルトに、レンが逆らえるわけがない。困ったように眉根を寄せて不敵に笑うナルトと、縋りつくように見詰めるイノ達と穏やかに笑って返事を待つ火影を見比べる。・・・・・此処まできたらどれだけ時間をかけたところで無駄な抵抗である。レンは諦めたように一つ息を吐いてから、姿勢を正して火影に頭を下げた。
「・・では、碇レン。ありがたく、休暇を頂戴いたします。」
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書きたい物を書ける時に好きに書き散らしてます。文頭には注意書きをつける積りですので、好きじゃない、と思われた方はこのHPを存在ごとお忘れになってください。(批判とかは本当勘弁してください。図太い割には打たれ弱いので素で泣きます)
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