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この作品は、エヴァ×アビス基本+seed(キラ・ラクス・クルーゼ・カナード他)、ぼかろ(カイト・ミク・メイコ)設定がクロスする混沌クロス作品です。
・碇レンver
・今更ではありますが、時系列及び預言の在り方等諸々について、夥しい捏造が入ります。
特に創世歴時代の出来事や人物間の血縁関係や交友関係等は、公式設定とは全くの別物だと考えてください。
・本来お亡くなりになる方が生存してたり、マルクト・キムラスカ・ダアトへの批判・糾弾や、PTメンバーへの批判・糾弾・断罪表現が入ったりします
CP予定:
・・・キラ×ラクス(seed)
・・・カイト×ミク(ボカロ)
・・・クルーゼ(seed)×セシル(アビス)
・・・被験者イオン×アリエッタ(アビス)
・・・フリングス(アビス)×レン(碇レン)
です。上記設定がお好みにそぐわない、という方はお読みにならないようにお願いいたします。
とある穏やかな夜。
美しい星空の下で、美しい花に囲まれた場所で、三人の男女が向かい合っていた。
一人の男--十代後半位の朱金の髪の青年は・・・・激しい頭痛を堪えつつ、困惑と怒りと呆れを抱えて目の前の二人の女を見比べていた。
十代後半で自分よりも少し年下位の、15・6歳程の少女が二人。
二人の少女は、朱金の髪の青年・・・キムラスカ王国ファブレ公爵家嫡男であるルーク・フォン・ファブレ・・の前で、正反対の態度を見せていた。
一人は恐縮しきって土下座までし、ルークの許しをひたすらにまっている。
一人は呆れ切った眼差しで少女を見下ろしつつ怒りを滲ませてルークを睨んでいる。
その様子を見比べれば見比べるほどに、激しくなる頭痛を抑えきれなくなるルーク。
深いため息をひとつ。思わず口に出して呟いた。
「・・てか、その態度・・・お前ら本来は逆の立場じゃねぇのか?」
ND2018、23day,Rem,Rem Decan
その日、事件は起きた。
ぱちり、と音を立てそうなほど勢い良く瞼が開く。いつもは従者を務める宵闇色の髪の青年が必死に身体を揺すっても枕から離れられない己の寝起きの悪さを知っていたルークは、自分でも不思議に思うほどすっきりと目覚めることができた。我ながら珍しいな、今はカイトが居ない所為かな、と思いつつ身支度を済ませる。本来なら専属のメイドに身の回りの世話を任せるべきだが、ルークはできることは自分でやりたいと”わがまま”を通して基本的な身だしなみ等は己で整える事を許されていた。
といっても公爵家の嫡子たるものの体裁がある。実際がどうであれ王位継承権を持つ上級貴族の人間が、着替えから部屋の片付けなどを自らの手で行っているなどと外部に漏らすことなどあってはならない。だから常ならば従者である青年--数年前偶然が重なって出会った創世暦時代の譜業人形である。---カイトが傍付きとして控えることで形だけは整えていた。譜業人形といっても流石は創世暦時代の技術というべきか、カイトは外見から言動に至るまで、まるきり普通の人間と区別がつかないほど精巧な人形であった。しかもしっかりと自立した精神を持っているのだ。最初は所詮は人形だと見ていた屋敷の面々も、付き合いを深めるうちにカイトを一人の人間と同じだと見るようになった者が殆どだ。未だに偏見を捨てきれない者も若干居るが、あくまで少数になっている。何よりも、当時まだ”マルクトに誘拐された”所為で、”赤ん坊同然になってしまったルーク様”を守り慈しみ育て上げたのはそのカイトなのだ。カイトを人形だと蔑んでいても、カイトがルークに対して抱く忠誠に疑いを差し挟む人間はこの屋敷には存在していなかった。
そのカイトは此処数日間留守にしている。如何しても信頼できる人間にしか頼めない用事があって、仕方なくカイトを使いを頼んだためだ。カイトがいなくても生活的な困難は無い。完全な素をさらけ出すことはできずとも、付き合いの長いメイド達も居る。幼子ではあるまいし一人が寂しいというわけでもない。だがやはり信頼できる人間が居るのと居ないのとでは、精神的な緊張感の度合いが違うということか。
(つっても、初めてってわけでもねぇのに、今日に限って目が覚めたってのは----)
キィン、と甲高い耳鳴りが始まる。
(ってぇ、やっぱりかよ!)
姿勢を保つことも儘ならないほどの激しい頭痛。七年前に”誘拐”されてから不規則に煩わされる持病のようなものだ。”記憶喪失”の原因に関わるのではと何度と無く検査を繰り返したが未だに治療法が見つからい。・・・ことになっている。表向きは。だが今はその理由を知っている。
---我が・・え・。・・・・ク・・・我・・子・・応・・---
(無茶言うな!どうやって応えろってんだよ!!痛ぇ、くそっ!)
数年前にルークの母であるシュザンヌの治療の為にファブレに招かれた青年が推測した事だ。
その時に判明した事実と合わせてほぼ間違いないだろうと断定された。
(ふざけんな!ローレライ!)
すぅっと痛みが引いていく。まるで何事も無かったかのように耳鳴りも消えた。だが痛みにもがいていた数秒の間に疲労した精神を休める為に傍らの椅子に座り込んで眉間にしわを寄せる。
そう、恐らくは、”ルーク”の同位体である、第七音素の意識集合体、ローレライの声だろうと。
(だったら何だって話だがな。日常生活を脅かされる謂れはねぇぞ。あー忌々しい。
・・・被験者は何やってやがんだよ!!)
そして、此処にいるルークが、七年前誘拐された”ルーク”のレプリカであると、教えられたのだ。
それは衝撃の事実であった。
実際シュザンヌは卒倒したし、クリムゾンは厳しい面持ちを崩さずに、その情報を齎した青年---シュザンヌの従兄弟であるハルマ・ヤマト公爵の息子キラに詰め寄って今にも斬り捨てんとばかりの剣幕であった。当時のルークは未だに言葉も覚束ない状態で口を挟むことはできなかったが、傍らのカイトに抱きしめられながら三人の様子を見ていたから覚えている。幼心に、自分がやっぱり”皆の求めるルーク様”ではなかったのだ言うことだけは理解した。納得と、落胆と、どちらが大きかったのかは覚えていないけど、もう自分は”ルーク”にならなくて良いのかな、とだけ考えた。
そんなルークを確かに気遣いながら、キラは説明を続けたのだ。
レプリカとはどういったものか。
その確証となったものは何か。
ルークがレプリカであるのなら、被験者はどうしているのか考える必要があること。
その上で、レプリカルークをどう扱うつもりなのか、と。
一度は気を失いつつも何とか立ち直ったシュザンヌと、狼狽しながら考え込むクリムゾンを見比べるキラの眼差しは、その場で誰よりも力強かった。
ルークを抱きしめてくれているカイトの腕の温もりと同じくらいに、ルークを守ってくれていると感じたのだ。
そしてそれは正しかった。
シュザンヌが、ルークがレプリカであっても、身体を構成するのが第七音素のみであるという点を除けば被験者と全く同じであるというのなら、それは自分が生んだ息子がもう一人増えたのと同じことではないのか、と言った。加えて刷り込みという記憶複写の技術を施されていないレプリカは身体が成長した外見であっても赤子と変わらないなら、その子供はまさしく幼子でしかないのでしょうと言った、ならば、そのこは私が生んだルークの弟のようなものですね、といって笑ったのだ。
そのシュザンヌの言葉には安心したように笑い返したキラが優しく頭をなでてくれた時の表情でそれを悟った。
キラはきっと、シュザンヌが拒絶するならば、ルークを保護してくれようとしていたのだろう。だからシュザンヌがルークを受け入れたことに安心したのだ。
同時に、考え込んでいたクリムゾンが、ならばその子供を”ルーク”の影武者にしよう、と言い出した瞬間のキラの殺意すら込めた怒りもはっきり覚えているのだ。
それはどういう意味かと平坦な声で問い返したキラに、クリムゾンは被験者のルークはキムラスカの繁栄の礎になるという預言が詠まれているのだと返した。静かに目を細めて、つまり”ルーク様”の死の預言を回避するために、何も知らない幼い子供を身代わりにするつもりなのですね、と言った声には肌を焼きつくすかと思うほど激しい憎悪が込められていた。先程優しく笑ったシュザンヌにすら非難の眼差しを向けられて尚当たり前のように、国の為に死ぬのは王族としての義務だろう、と言い切った。
その瞬間、シュザンヌとキラとクリムゾンの間には決して超えることの出来ない断裂が生まれたのを理解した。
数秒前の激情を綺麗に収めて、不躾なことを申しました、と頭を下げたキラと、それが王族の役目ならば、と淑やかに控えたシュザンヌの間に交わされた眼差しが同時に自分に向けられたとき、ファブレ家で信じていいのは、この二人とカイトだけなのだと、理解したのだ。
だから、ルークは、”ルーク”の代わりにここに居る。
今、ルークがレプリカであると知っているのは、シュザンヌとクリムゾンと、キラとキラの妹であるレンとカイトと、シュザンヌが厳選した数人のメイドと騎士。後はインゴベルトとその側近数人と、キラが信頼している何人かだけだ。”ルーク”の婚約者であるナタリア王女や、”ルーク”の傍付きであったガイ・セシルにも秘密にしている。これはクリムゾンとインゴベルトの判断で、彼らはルークが”ルーク”の代わりを勤めてくれれば次代の王を失うことなくキムラスカの繁栄が得られると考えたのだ。そのためには、ルークが替え玉であると知られてはならない。特に預言を人々に授けると同時に崇拝するローレライ教団に隠し通すためには、決して秘密が露見することは許さぬ、と命じた。
・・・ルークが実際に預言の為に死んだあと、教団にどう言い繕って本物を表に出すつもりかは知らないが、キラ達の計画のためにもそれは都合が良いから従っているだけだ。ルークも世界中全ての人間に受け入れてもらいたいなどとは思っていない。信じてくれる数人が居ればいいから不満もない。
後日、キラが”記憶喪失”のルークの家庭教師も勤める様になった。
そのキラの教育とカイトの世話を受けてルークは成長したのだ。
時にキラやキラの妹であるレンや、キラの友人との交友を交えて七年を過ごした。
知識と力を蓄えて”以前のルーク”と比べても遜色ないくらいに成長した時、キラとシュザンヌから打ち明けられた計画に協力するために此処にいるのだ。人の死を詠んだ預言にすら盲従して、助かるかも知れない命を無造作に見捨てるようなこの国を変えるために。預言に詠まれたのならば、という理由で誰かの死すら無条件に受け入れる”常識”を壊すための戦いに協力するために此処にいる。
だから、ルークにとってファブレ家は敵地にも等しい場所である。完全に気を抜いていいのはシュザンヌの私室と、キラやレンが訪れている時のこの部屋と、カイトが傍にいる時だけだ。
そんな状況で、時と場合を選ばずに訪れる激しい頭痛は、日常と計画を阻害する最悪の敵に等しい。何せまともに姿勢を保つことも難しい状態でうっかり本性を取り繕う余裕すら失われたらと思うと楽観などできない。頭痛の原因であると目されるローレライに悪態の一つ二つついたところで仕方が無いというものだ。
(あー、くっそ。・・・まあ良い。今更だからな。
それより今日は----)
その瞬間ルークが表情を変える。眉間に刻まれていた皺を消し、自然体でありながら高貴な身分の者特有の威厳を纏う。この部屋に近づく気配を捉えたからだ。殆ど反射的に、完璧でありながら親しみやすい”ルーク様”の仮面を被る。といっても完全な虚実というわけではない。ただ素では多少乱暴に成りがちな口調を改めて、公爵子息としての最低限度の対面を整える程度のことだ。それでも貴族社会に生きる人間には最も効果的な演出になる。同じ内容の言葉を話しても、口調の違いで受ける印象が変わるものだ。権威を重んずる貴族ならば尚更に。だから人前でのルークは殊更に礼儀作法や立ち居振る舞いに気をつける。本当に親しい人間だけが居る場所以外では、自宅でも同様だ。使用人の噂ほど、早く広く広まる情報は存在しないのだから。
これはルークがレプリカであると明かされた時のための予防線だ。
人は異端を嫌悪する。今は幾ら好意的に見てくれている者でも、必ずルークを拒絶するものがでるだろう。だから、今のルークが優秀な公爵子息としての能力を示しておくことが必要なのだ。例え被験者とは違う生まれの生き物であっても、その能力に遜色は無いのだという事実を。生まれ方が違っても、レプリカだって生きている人間なのだという事実を直接知る人間を多く作っておくべきだ。今生まれているレプリカはルーク一人ではない。これからだって生まれてくる可能性がある。そんな時に、ただ異端の生き物だという事実だけで排斥されかねないレプリカを守る手段の一つとして、今のルークの評価を高めておく事が必要なのだ。ルーク一人ならば親しい数人だけが居れば良いと思っても、その数人を見つける前に命の危険に晒されかねない他のレプリカたちの為の予防線。
学業でも剣術でも譜術でも、恐らく被験者よりも優れているという自信がある。これはキラ達も認めるところだ。
ルークに全てを教え込んだキラとシュザンヌの指導の賜物だ。数年前から父を介して政治にも参画している。いくら影武者といっても、ただ屋敷に世話になるのは申し訳ないから仕事を手伝わせてほしいと言いくるめたのだ。シュザンヌとキラの援護もあってかしぶしぶでは有るが公務を任されるようになった。すぐに示されたルークの有能さに、役に立つなら結構だとでもおもったのか今ではそれなりに重要な仕事も回されるようになった。お陰で今の屋敷にも王宮にもルークを”ルーク”と比べるような輩は存在しない。むしろ七年前よりもさらに優秀になったと評判である。キラと連名で行った政策のいくつかのお陰で国民にもルークの名は広まり始めた。いつか被験者を連れ戻して、ルークがレプリカと知れた時に、これらの形に残る功績や評価はその身を守る盾の一つになるだろう。
ただし、一部のものにはそんなルークの本性を隠さなければならない。
どんな些細な疑いもキラ達の計画の妨げになりかねないからだ。
(・・・つっても、ちょっと誤魔化すだけで疑いもしやがらねぇのには拍子抜けしたけどよ)
コンコン
「失礼いたしますルーク様。旦那様と奥様がお呼びです。」
「何?入れ」
内心で呟くのと同時に扉がノックされる。元傍付きであったガイの声だ。ルークの許可を得て入室するガイの顔には爽やかな笑みが浮かんでいる。誘拐から連れ戻された当時のルークにとっては、唯一安心できた表情。だが、今のルークにとっては警戒の対象だ。秘密を隠し通さなければならない一人。ルークの秘密だけではなく、ガイの秘密を知っていることも。
「お早う御座います、ルーク様。」
「ああ、おはようガイ。・・・今は誰もいないから敬語は無しで良いぜ?」
「そう、か?じゃあ、お言葉に甘えて。
・・・だんな様がお呼びだぜ。グランツ謡将がきてるとか。」
「師匠が?今日は稽古の日じゃないけど・・」
「ああ、ダアトでなんかあったらしくて・・なんだ嬉しくないのか?」
「いや、そんなことは無いよ。ありがとう。じゃあ直ぐに支度していくよ。」
「ああ、じゃあ俺は仕事があるから。またな。」
「ああ、後でな」
・・・それでも嫌いきれないのは、刷り込みのようなものだろうか。赤子のルークに優しかった彼の笑顔への親しみと、隠されていたガイの闇への警戒心。当時、屋敷中から蔑視されていたルークを、殆ど一人で世話してくれた彼への想いがある。けれど、キラたちと一緒に戦うと決めた後知ったガイの秘密が、無条件の信頼を抱かせない。だから自然とルークの態度もそっけなくなる。追いかけてくる必死な視線を撥ね退けるための演技。うっかり絆されないための予防線。それでもあきらめないガイの本意はどちら側のためのものか、今は考えたくなかった。
けれど、そろそろ結論をださねばならないだろう。・・今年はもう”ルーク様”に詠まれた預言の年だ。
(ガイには言うか言わないか、俺が決めて良いと言ってくれたけど・・・・
今はヴァンが先か。予定外の訪問。ダアトで問題、ね。
あーあ、じゃあ午前中に母上たちと約束してたお茶会は午後に延期か)
深く溜息をついて窓から外を見る。
七年間、ルークを閉じ込め続けた高い塀が区切っている狭い空を。
「さて、行くか。」
透き通る空の色は、見るものの心情などお構い無しに美しかった。
++
「失礼いたします。おはよう御座います、父上、母上。
お待たせいたしまして申し訳御座いません。」
「まあ、おはようルーク。今日も良く眠れて?
その服も良く似合っているわ。やっぱり貴方には白が一番合うわね。」
「ありがとう御座います。ええ、先日母上がくださったものです。」
「うふふ、また新しくデザインを考えたら着て頂戴ね。楽しみだわ。」
にこやかな表情で客室に入るルーク。穏やかな声で両親への挨拶をする。その優雅な仕草を見たシュザンヌが誇らしげに笑ってルークに返事を返す。クリムゾンの物を見るような無機質な視線には気づかぬ振りで、仲の良い母子の会話を交わす。客人として遇されているローレライ教団神託の盾騎士団の首席総長ヴァン・グランツ謡将の視線も態と無視する。ルークが殊更母親想いであることを屋敷に出入りするもので知らぬものはない。母を気遣う余り他人の存在を忘れているのだろうと、屋敷内のものは微笑ましく見守る。公式の場や外の世界で同じ事をしなければちょっとした欠点で片付けてもらえる程度に抑えた、ささやかな嫌がらせである。
「・・・ルーク」
「ああ、大変失礼いたしました。父上。
グランツ謡将、お久しぶりで御座います。ようこそお越しくださいました。」
今気づきました、とばかりに少しだけ申し訳なさそうに眉を寄せて謝罪の言葉と共に挨拶をする。ひっそりとシュザンヌの口元があがったのはルーク以外の誰も気づかない。伏せた顔がにやり、と笑ったルークにも。言葉を額面どおり受け取ったクリムゾンとヴァンが鷹揚に頷いて会話をはじめる。
「まあ、良い。今日はグランツ謡将がわざわざ挨拶に寄ってくださったのだ。
お前も座って話を聞きなさい」
「はい、では失礼いたします。」
礼儀正しく一礼して席につくルーク。その時こっそりとヴァンに子供っぽい笑みを見せておくことも忘れない。礼儀正しい公爵子息が、場を弁えつつも嬉しさを隠せない、といった様子だ。シュザンヌとキラの指導で培った演技力を見破れるような目の良い人間はその場に存在せず、皆が完全に騙される。ほくそえむ母子。道化を演じるファブレ公爵とグランツ謡将。茶番である。
(ちょろいな。)
「ああ、そんなに畏まる必要はないぞ、ルーク。」
(お前はもうちょっと畏まれよ。此処にはキムラスカの王族が三人もいる公爵家だぞ。 キムラスカが預言に傾倒する馬鹿に占められてなきゃ、不敬罪で首切られても文句いえねぇぞその言葉遣い。)
「ありがとう御座います。それで、グランツ謡将、挨拶というのは・・」
「うむ。緊急の任務でバチカルを離れることになってな。
しばらく稽古に来られそうもないから、その挨拶にな」
「ええ!?………緊急の任務とは?……」
「これは内密な話なのだが………導師イオンが行方不明になったと知らせがとどいてな」
「導師が?!では、」
「うむ。明日からその捜索に向かう。いつまでかかるかは今のところわからん」
「………そうなのですか………」
そっと目を伏せるルーク。それを落ち込んでいると解釈したらしいヴァンが笑いながら続けた。
「そんな顔をするな。そう長くもかかるまい」
「………はい」
(・・・・行方不明?何かあったか。カイトがついでに調べてくるとは思うが・・)
そのダアトに向かわせているカイトの帰還を急がせるべきか、と一瞬迷ったため次のヴァンの発言に素で反応してしまった。
「さて、では着替えて外に出なさい。
しばらく来られないからと言って、次に来たときに鈍っていてはいかんからな。
今日はみっちり稽古をつけてやろう」
わざとらしく厳めしい表情を作ったヴァンがソファから立ち上がる。可愛い弟子を見守る頼もしい師匠としての表情。 本来なら此処で嬉しげに笑うべきだが、
「「は?」」
思わず素で声を漏らしてしまった母子。その疑問の表情に首を傾げる壮年の男が二人。・・首を傾げたいのはこっちである。
「・・どうした?ルーク」
「え、いえ。グランツ謡将は、導師が行方知れずになったため、帰還しなければならないのですよね?
なら、私の稽古など瑣末事ではありませんか。一刻も早くお帰りになるべきでは・・」
幸いシュザンヌの声は聞き逃したらしいので、これ幸いと声高にまくし立てる。辛うじて、大好きな師匠との稽古が出来ないのは残念だが、という表情を見せるのを忘れなかった自分を褒めたい位信じ難い発言だった。演技の必要がないなら、自国のtopの危機に何を暢気に構えてやがる、と胸倉を掴みたい。いくらなんでも、お前はもうちょっと本音と建前を使い分けるべきじゃねぇのか、と言いたい。キラ達との計画の一環で知った事実がなければ、ヴァンの発言はどこまでも突っ込みどころが満載すぎる。知っていても満載だが。
(いやいや、軍人の職務をなんだと思ってんだよ。
おれが何も知らなきゃ、導師の地位はそんなに軽い代物なのかって思ってもしかたねぇぞ、その発言)
「何を言う。どうせ船の出る時間までの待ち時間もある。
私が、お前との約束を破るわけないだろう?」
「ルーク、折角のご好意だ。甘えておきなさい。
・・ではよろしくお願いしますグランツ謡将。私は登城の時間ですので失礼します。」
「はい、勿論です、公爵。」
クリムゾンも全く気にしていないらしい事実に、シュザンヌがこっそり眉をしかめている。・・やはりキムラスカの未来は暗い。彼らに国を任せて置けないと日常的に決意を改める事数百回目。むしろ今すぐ蹴落としてやろうか、と愚痴るキラの言葉に全力同意したい。
(キラ~~こいつら駄目だ、本当。
もういっそ預言信者纏めてどっかに監禁しようぜ)
内心で罵倒しつつ表情は完璧なままヴァンに向き直る。これも計画の内、と百回唱えて演技再開。
「ふぅん。・・・じゃあ、師匠!早速はじめても良いですか?」
口調を少し子供っぽくして乱雑さを混ぜるのがポイントである。懐いている師匠に甘えている背伸びした子供の図だ。勿論シュザンヌとキラの・・以下略。そしてあっさり騙されるヴァン。
(こういう面では扱いやすいつーのに、)
曲りなりにもヴァンはレプリカルーク作成に始まる計画の首謀者である。加えて実力と人望と地位だけはあるという厄介ぶり。うっかり気を抜いてしまわないよう気合を入れるルーク。
「そうね、ではルーク。午前中に約束していたお茶は午後にしましょう。
あの子達にも伝えておくわ。気をつけるのですよ」
にこやかに息子を気遣うシュザンヌ。アイコンタクトで励ましあってお互いに別れる。
(キラ、カイト、早く全部終わらせて隠居しようぜ。
早く解放されたいよ、本当に)
・・・・・・・・・・・・・それが、今日の朝の出来事である。
そして、今ルークは此処に居る。
此処---- マルクト帝国領、タタル渓谷の上に。
上を見上げれば満天の星空。穏やかな風は涼しく芳しい花の香りを運ぶ。
ただの星見を兼ねたピクニックならば、どれ程良かっただろうか。
現実逃避をあきらめて、目の前に視線を戻した。
変わらずに土下座の姿勢を崩さない黒髪の少女と、此方をにらむ栗色の髪の少女を。
「あ~~まず、レン。顔を上げろ。発言も許す。これはお前の責任じゃない。」
「恐れながら申し上げます!
あの場に居合わせながらルーク様をお守りすることも出来ず、このような場にお連れしたのは私の失態に御座います!帰国した暁には必ず罪を償わせて頂きますので、どうか道中の護衛の任をご命令ください!!」
額をさらに土にこすり付けてまくし立てるレンに深々と溜息をつく。彼女は自分の失態だといったが、そんなことは全くない。むしろルークがこんな場所にまで飛ばされることになった原因である事件の瞬間に、普通ならば絶対に間に合わないだろう距離を走りこんでルークを庇った彼女の行動は賞賛に値する。何しろファブレの警備が尽く無力化された状態だったのだ。本来ルークを守るべき騎士たちが軒並み攻撃力を奪われたあの時に、ルークを守る行動を起こした彼女が責められるいわれは全くない。レンが来てくれなかったら、あのままルークともう一人の女とだけでこんな場所に放り出されるところだったのだ。むしろルークはレンに感謝しか感じていなかった。
「良いから立て。お前にそんな事をさせたと知られたら、キラに殺される。」
「ルーク様、ですが・・」
「いいから!ほら!」
渋るレンを無理やり立たせる。小うるさいもう一人の気配は完全無視でまずは小声でレンを宥める。
「大体今日のお前はただの客人だろうーが。
しかもあの時は屋敷に向かう馬車に乗ってたところだっただろ。
そんな状態で異変に気づいたのは凄いよ。庇ってくれてありがとな。」
「いえ!もったいないお言葉です!」
「それと、その口調!やめろよ、此処は外だぞ。
しかもマルクトだろ多分。だったら俺は身分を隠す必要がある。
なのにお前がそれじゃあ、すぐにばれる。
・・・・お前は俺の部下じゃなくて、幼馴染の友達だろーが!」
仕方なさそうに言ったルークの言葉にやっと笑うレン。狼狽に潤んでいた深紅の瞳が明るさを取り戻す。擽ったそうに笑うレンに安心したルークも笑う。目の前の黒髪の少女は、ルークの師匠であり、共犯者であり、親友でもあるキラの妹である。といっても、彼女にも複雑な出生などの事情があるらしく、正式なヤマト家の令嬢ではない。その辺りはルークも詳しくは知らない。だが、レンが真面目で心優しい信頼出来る幼馴染の少女である事実は変わらない。彼女とキラが明かしたくないと思っている事実を暴こうなどとも思わない。キラもレンも、自分にとって大切な存在であるという想いに嘘はなく、彼らも自分を大切だと思ってくれていることを知っていれば十分だからだ。必要になったらきっと自分から打ち明けてくれるだろう。
それに、この幼馴染の少女は実年齢七歳のルークよりも妙に幼いところがある。キラの英才教育で外見年齢にも見劣りしない位の実力を持つルークだからこそ、レンのそういう所に庇護欲を刺激される。表向き同い年ではあるがルークにとっては妹のような存在なのだ。自分の今の立場を理解すればこそ、本来ならばレンに護衛を命じるべきかとも思ったが故意に無視する。要はばれなければ良いのである。隠し切れないならば口先で言いくるめるだけだ。とにかく、ルークにレンを危険な目にあわせる気は毛頭なかった。
(大体、レンが傷一つでも負ったりしたら、キラがマジ切れする。
・・・・いや、既に切れてんじゃねぇかな。つーか、ヴァンのこと殺してるかも)
そう、レンは、キラの最愛の妹なのである。その妹至上主義っぷりや王宮や軍部でも知らぬものなど居ないほど。加えてキラが非常勤の教師を務めている士官学校では、キラに加えてレンもアイドルである。キラの補佐として授業に参加しているレンの人気たるや、軍部に限ればバチカル市民の人気を独占するナタリアにも勝る。
直接指導を受けた卒業生のキラへの忠誠の深さは、それこそ国王であるインゴベルトへのものなど比較にもならない程だ。キラに心酔する軍人やレンを溺愛する軍人達を集めれば、一日でバチカルどころかキムラスカ全土を占領できるだろう。そのヤマト兄妹至上の軍人達に今の状況を知られた日には、制止するまもなく暴動でもおきかねない。
(実際にレンに何かあったらキラが止めるわけもねぇしな。
・・・・あ、でもそれはそれで手っ取り早くて良いかもな。)
一瞬甘い誘惑に傾きかけるが、我に返ってレンの説得を続ける。
(あぶねぇ、落ち着け俺。)
ちなみに、そんなキラとレンの親愛と敬愛を受けているルークの人気も二人に劣らずであることに本人だけが気づいていない。現職の若手軍人や学生達の間では、上記三人さえ居ればキムラスカの未来は安泰だというのが定説であった。
「とにかく!お前は色々気にしすぎだ。いいか、これは俺達には不可抗力の事故だった。
お前には何の責任もない。確かに俺に何かあれば問題になりかねないが、だ。」
「はい・・」
「隠せば良いんだよ。大体お前だってキラの妹で公爵家の娘だって事を忘れるな。
俺だけじゃなく、お前の身に何かあれば、それこそ問題になるってことを思い出せ。・・・わかったな?」
「・・・・はい。」
「敬語!」
「は、・・うん。わかり・・いえ、わかった。」
「よし!」
満足そうに笑ったルーク。肩の力を抜いてそっと笑い返すレンの髪を乱暴に撫でる。そこで、今まで存在ごと無視していたもう一人に視線を向けた。同時に表情を改めて前に出ようとするレンを制する。そして感情を込めない声で問いただす。
「で?そこの女。お前には今から聞きたいことがある。
猿轡を外してやるから質問に答えろ。・・・レン、猿轡だけ切れるか?」
レンが近づこうとするのを引き止めて言う。直接手で外すのではなく譜術で切れということだろう。肯いたレンが口の中で詠唱して巻き起こる真空。見事に制御された術が女の口元の布だけを切り落とす。途端に沸き起こる罵声。咄嗟に耳を塞ぐルークとレン。
ぎゃんぎゃんと吼えていた女が咳き込んだ隙に尋問を開始する。
「で、お前の名前は?」
「人に名前を聞くならば、まずは自分から名乗るべきでしょう?!
だいたい、何で私がこんな目にあわなければならないの?!」
後ろでに拘束されたままの女が怒りに震えた声で反論する。
その言い様に揃って顔を顰めるレンとルーク。
・・・この女は何をいっているのだろうか。
「いや、それはお互いに対等の立場で礼儀を払うべき相手との場合だけだろう。
何故、俺達が突然自宅に不法侵入した挙句刃傷沙汰を起こすような襲撃犯に名乗らねばならない。」
「あれは、ヴァンを狙っただけよ!」
「何故?」
「貴方には関係ないわ。個人の事情よ。」
頭が痛い。なんだこの女は。
「・・・・その個人の事情とやらが何かは知らないが、何故私の家でヴァンを狙う。
しかも貴様、騎士やメイドを眠らせたな?歌が聞こえたからあれは譜歌か。 これは不特定多数にむけての傷害行為だぞ。しかもその結果我が家は一時的とはいえ警備が無力化した。それがどういう事か、まさか理解できないわけではあるまいな」
ルークが冷酷な視線で見据えて詰問すると一瞬だけ気まずそうに視線を泳がせた女。だが次の瞬間にはもう気を取り直している。
「・・・巻き込んだのは悪かったと思ってるわ。でも、これは個人の事情で・・・」
「ふざけるのも大概にしろ!!貴様のその服は神託の盾騎士団の軍服だな?
ダアトの軍人が、我が屋敷に襲撃をかけたんだ。これは立派な宣戦布告だな。
帰国しだいダアトに抗議文を送らなければ。」
「な!!ふざけないで!ダアトは関係ないと言ってるでしょう!
あなた戦争を起こしたいの?!これだから傲慢な貴族は・・・!!
私が個人的な事情で、ヴァンを狙っただけよ!!
・・貴方達を連れ出してしまったのは悪いと思ってるわ。
だから責任もって家まで送り届けます。そんなことより、これを早く解いてちょうだい!!!」
うんざりする。何だこの頭のおかしい女は。
本気で言ってるのが手に取るように分かってしまうからこそ、理解不能だった。
キムラスカの公爵家に襲撃した理由が個人の事情?
・・・例え場所が一般市民の家庭であっても、他人が不法に侵入したら三年以下の懲役1万ガルド以下の罰金である。しかも武器まで振り回して家人を危険に晒しておいて謝罪のみで放免される道理がどこの世界に存在すると言うのだ。
警備を無理やり眠らせたのが仕方ないこと?
・・・本人の意思を無視して無理やり眠らせたのだ。これは明らかな傷害罪である。たとえ他人を完全な過失で傷つけても罪に問われるというのに、故意に多数の人間を巻き込んでおいて「悪かった」の一言で済ませるつもりか。
第三位王位継承者であるルークと、公爵家令嬢であるレンを巻き込んでおいて、自宅まで送り届けるだけで許される気で居るなんてどんな神経だ。
・・・これこそ一番信じられない。女が言ったように貴族階級のものは傲慢であると謗られても仕方がない者も大勢居る。例えばただ気に食わない、という理由で使用人の首を落とす侯爵令嬢や、子供が転んだ表紙に蹴飛ばしてしまった小石をぶつけられたからと家族全員を縛り首にする男爵。彼らは貴族であると言うだけの理由で処罰されずに許される。キムラスカにおいて、それほど身分が重視されているからだ。だから階級の最上位である貴族や王族へ危害を加えたものは、過失も故意も関係なく無条件に死罪が決まっている。そんなこと、国など関係なくこの世界に生きている人間ならば知っていて当然の常識である。それを、よりにもよって軍人でありながら認識すらしていないだと?どれだけ無知なのだこの女は。
本当に嫌になってきた、いっそこの場で首を落とすか。擬似超振動の再構成に失敗して死んでましたとでも報告すればいいんじゃないか。と真剣に考え始めたルークの袖をレンが引っぱる。耳元にそっと口を寄せて囁いた。
(あの、ルーク。この人・・・ヴァンの事を狙ってきたのよね?
それってもしかして何か知ってるんじゃ・・)
愚にもつかない雑言を喚く女の処理法で思考を一杯にしていたルークが我に返った。そういえば、言い訳の内容はともかく、理由はそれだ。もしやこの女に情報をはかせれば証拠の一つにでも利用可能だろうか。
(けどなぁ。・・・なあ、レン。こいつを連れてキムラスカに戻りたいか?)
(えぇと・・・)
(すっぱりこの場で始末してかねぇ?
ヴァンの野郎はもう襲撃犯の共犯だったとか言って処分すればよくないか)
(で、でも・・・)
ひそひそっと話し合う二人の雰囲気に苛立ちが最高潮に達したらしい。女が座った目でにらみつけて息を吸い込む。力ある言葉が音律を伴って解放される直前、
「っが !っっつは!!」
ルークが投げた布の塊が女の口を塞ぐ。力いっぱい投げたため殆ど殴られたのと変わらないだろう衝撃に悶絶する女。それを見下ろしてルークが思案した。
(・・・・しかたねぇ、か。こいつがダアトの軍服着てなきゃ始末してもどうにでもなったのに)
キムラスカは預言を重視する。預言を授けてくれるローレライ教団も同様に。現に今キムラスカ国王であるインゴベルト6世は、教団の大詠士であるモースを宰相のように重用している。恐らくファブレ家を襲撃した女がダアトの軍人であるという事実だけで女の罪を見逃しかねない。繁栄の礎になるルークに何かあるならともかく、無事生還すれば尚更だ。それに
(もし俺が死んでも、キムラスカにとっちゃ最初の予定通りもう一人の”ルーク”を使えば良いってだけだからな)
「・・・・女、お前の拘束を解いてやる。
襲撃に関しては見ない振りをしてやるからどこへなりと行くが良い」
吐き捨てるように女の縄をナイフで切って手を振った。とにかくこいつと一緒に居なくてすむなら何でも良かった。
だが、ここで大人しく引き下がるようなら最初から公爵家襲撃をしておいて口先の謝罪で許されるなどと言う妄言を喚いたりしない。憎憎しげに立ち上がった女が、嫌そうな顔で言い放った。
「私には貴方達を送り届ける義務があるのよ。我侭を言わないで頂戴。
ほら早速行きましょう。夜の森に留まるなんて危険だわ。」
「「はぁ?」」
「何をしてるの、川沿いに抜ければ人里に着くはずよ。ぐずぐずしないで。
ああ、私の名前はティアよ。・・で、貴方達の名前は?」
((もう本当に、どうしよう))
レンとルークの表情から真意を読み取ることなく勝手に話を進める女--改めティア。
二人を送る義務とやらを果たすために、キムラスカまでついてくる気満々なようだ。・・・・本っ当にめんどくさい。先程は始末を躊躇っていたレンでさえ、此処で決着をつけておくべきかと一瞬考える程に、ティアの態度はありえなかった。
ティアはルークの言葉を何一つ理解していないらしい。ティアの中では、自分が原因で起きた事故が二人を此処まで連れてきたのだから自宅まで帰らせる義務がある、ということになっているらしい。それだけ聞けば責任感が強いとも思えるが、その原因は公爵家への住居侵入罪及び公爵家への家人への傷害罪並びに客人への殺人未遂、極めツケがティアとルークが接触した際に起きた擬似超振動による誘拐罪だ。・・・・どこのテロリストだと問いただしたいほどの犯罪の数々。どれをとっても実刑は確実。さらに被害者が王族ともなれば死刑は免れない。ティア本人のみならず、後は何親等までに責任を問うかという問題である。
ルークとレンは疲れきった溜息を零した。最早一言も話したくない。
彼女は自分からキムラスカに向かうつもりだと言うし、放っておこう。
何を喚いてもあれは只の騒音だ。好きにさせておけば良い。
視線だけでそう話し合うと、黙々と歩き始める二人。
美しい星空と芳しい花の香りだけを慰めに渓谷を後にした。
・・・・・キムラスカは、あらゆる意味で、遠かった。
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