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主人公総受け至上主義サイトです。特にエ/ヴ/ァの・碇・シ・ン・ジ・の女体化verが贔屓されてます。EOE後女体化したシンジが他世界へ渡る設定のクロス作品がメインです。(で、他作品キャラに物凄く愛されてます。)
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お待たせいたしました彩姫様。
36363hitリクエストありがとう御座いました!ルクアリ小話で御座います。

ええと、すみません。本気でシリアスになってしまいました。
そしてPTメンバは空気なんですが若干辛口です・・・・。本当にすみません、努力したんですがこればかりは本気でどうにもなりませんでした。

もし気に入らなかったときは、どうぞ遠慮なく申し出ていただければ書き直させていただきます。


一応原作風味のルークとアリエッタです。


では、どうぞ





『箱庭の御伽噺』




 




 



 

昔々、あるところに、可愛らしいお姫様と、王子様が二人で暮らしていました。

 



 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なんで、そんな風に、笑う、ですか」



「嬉しいからだよ。」

 






 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柔らかな風が吹く。獣や魔物にしか足を踏み入れることができないような深い森の奥にある小さな広場。大きな木が優しい影を落とす、その場所で穏やかにまどろむのは鮮やかなローズピンクの髪の少女と、朱金の髪の青年だ。
 

少女の膝に頭を預けて静かな寝息を立てる青年の髪を、少女が優しく梳いている。
無防備に自分に全てを預ける青年が愛しい、とその仕草全てで語る少女がふわりと笑う。



(ここは、静か、です。)

 


「・・・アリエッタ?」




今まで眠っていた青年が掠れた声で少女を呼んだ。瞼を擦る手をそっと抑えながら、アリエッタが答える。



「起きた、ですか?ルーク」

 


その口元に浮かぶ笑みに、首を傾げるルークが聞いた。



「なんかあったのか?嬉しそうだ」



純粋な疑問だけを浮かべる無垢な瞳がアリエッタだけを映す。その、至福。



「ルークと一緒に居られて嬉しいだけ、です。」



笑顔で囁かれたルークが、その面にたちまち朱色をのぼらせる。うろうろと視線を彷徨わせつつも小さく答える。



「・・・俺も、アリエッタと一緒に居られて、嬉しい、よ」


「ふふ、」

 



大好き、です。と吐息に混ぜて囁いて、瞼を伏せるアリエッタ。そんな少女に、ぎこちない手で頬を撫でながら、身を起こしたルークがそっと口付ける。拙くて幼い、子供のキスだ。それでも、二人にとっては何よりも愛しくて大切な行為。アリエッタが微笑む。ルークが真っ赤な頬を隠すように再びアリエッタ膝に顔を伏せた。


そこには、幸せな恋人同士と、森に溶け込む獣の気配しか存在しない。



(ここには、煩わしいものは、何も、ない。

 ・・・・・皆を嫌う、人間たちも。)



ルークを守るように、静かな手つきで髪を梳くアリエッタが胸の内で呟いた。



(ルークを、傷つける、あいつら、も)



そして、あの時の事を思い出す。


ルークを今度こそ殺そうと、狙ったあのときを。

 

 

 

 

 

 


「覚悟、するです。今日こそ、お前を、殺す、です!」



その日、ルークたちは地図にも載らない様な小さな村に滞在していた。どうやらアルビオールとかいう移動用の譜業の調子が悪かったらしい。パイロットの少女が点検と整備をしたいからと、一時的に降りた場所の近くに偶々あった村に予定外の宿泊を強いられたらしい。予定外であるから特に用事もなく、皆突然の休暇を好きに過ごしていた。其々がばらばらに行動する様子を、偵察を頼んだお友達に聞いたアリエッタは、チャンスだと思った。気を抜いているというなら、無防備に一人になる瞬間もあるだろう。この小さな村の周りは殆どが深い森だ。村の付近だけが開けた丘になっているが、少し歩くだけで容易く身を隠す木立の群れが現れる。ならばお友達
と一緒に影に潜んで、ルークが一人で歩く瞬間を待てば良い。彼らはあまり纏まりがないようだから、簡単に個人行動をとる。いつもなら大きな町でしかそんな姿を見れなくて機会を逃していたが、此処ならば、と思ったのだ。



そして待ち望んだ時はあっさりと訪れた。


どうやら一人で修行でもしようと思ったらしい。呑気に村から続く小道を歩くルークが、森の手前に差し掛かった瞬間、彼の身体を押し倒す。たとえ小柄でもアリエッタは軍人だ。かつて導師守護役を務め、今は六神将と呼ばれる師団長を務める優秀な。剣術が得意といっても、ほんの一年足らずの間に付け焼刃的な実戦を重ねた程度のルークを、取り押さえるくらいのことは簡単なことだった。相手が気を抜いている状態なら尚更に。あっさりと引き倒したルークをうつ伏せに押さえ込んで、首に刃を突き立てる。これで、ママの敵を取れるのだと高揚しか感じなかった。
 

だから、あの時、ルークと言葉を交わそうと思ったのは、ただの気まぐれでしかなかった。
今まで梃子摺らせた相手の最後の言葉くらい聞いてやっても良いか、と思っただけなのだ。


アリエッタが覗き込んだときの、ルークの本当に嬉しそうな笑顔と、いっそ睦言でも囁くかのような甘い声を聞かなければ、その場で首を掻ききっていたはずだ。

 


「なんで、そんな、顔を、するですか!
 ・・・アリエッタに、お前が殺せないとでも思う、ですか!」


「嬉しいからに決まってるだろ?」


 

ルークの笑顔に馬鹿にされているのか、と思ったアリエッタが怒りに震える声で問いただす。余裕を持っていられるのも今だけだと手に力を込めたアリエッタに返ったルークの声が、本当に幸せそうでなければそこで全てが終わっていたはずだった。


 

「何を、いうです?お前は、此処で、死ぬですよ?」


「ああ、わかってるよ」


「なら、何故、です?!」



食い下がるアリエッタに、ルークは疑問だけを浮かべる瞳で見返した。その美しい鮮緑には、恐怖も怒りも存在しなかった。まるで無垢な幼子の瞳で、アリエッタに視線を向けるルークの表情は、何を言っているのか分からない、と言っていた。今まさに殺されかけている状況で浮かべるべき表情ではなかった。


 

「・・だって、アリエッタが憎んでいるのは、チーグルの森で、クイーンと戦った時の俺だろ?」


「・・・当然、です。」


「だから、嬉しいんだよ。」


「どういう、いみですか。」



僅かにアリエッタの力が緩む。それでも抵抗せずに倒れたままのルークが続けた。

 


「だってさ、もうアリエッタだけなんだぜ。」



その吐息の甘さ。まるでこれこそが至福だとでも言うような。



「もう、”前のルーク”を望んでいるのは、アリエッタだけだ。」

 


その、言葉の意味を、唐突に悟る。

 


「七年間、ファブレで育った傲慢で我侭な、アクゼリュスまでの俺は、皆にとって必要ない存在なんだ。
 ティアもジェイドもガイもアニスもナタリアも。今の俺には優しいよ。
 アッシュだって口は悪いけど気に掛けてくれるようになった。

 けどさ、じゃあ、”前のルーク”を、俺はどうしたら良いんだろうな?

 
 そりゃ、アクゼリュスの事は許されない罪だ。
 その罰が、俺が変わらなければならない事なんだったら従うべきだろうさ。
 皆が”前のルーク”が嫌いだって言うのは仕方ない。
 俺だって良い奴だったなんておもわねーもん。」


 

笑顔のまま続くルークの言葉は、どこまでも空虚だ。



「でも、”前のルーク”だって、俺に違いはないんだぜ?
 ”前のルーク”が居なければ、今の俺だって存在しないんだ。

 なのに皆が”前のルーク”を否定する。居なくなって良かったって喜ぶんだ。

 じゃあ、”前のルーク”が居なければ存在しないはずの今の俺はなんだと思う?
 皆は今の俺に優しいけど、それって何でなんだろうな?」


 

優しいと仲間達が褒めるルークの笑顔が、仮面にしか見えない。
空っぽで冷たい、ただの笑顔という形をとっているだけの無機質な物体だ。

ルークの言葉に、アリエッタは答えられない。


 

「だから、さ。アリエッタが、”前のルーク”を憎んでくれるのが嬉しいんだよ。
 もう、”前のルーク”を優しいと言ってくれたイオンも居ない。


 ・・・アリエッタだけなんだ。」




ルークの表情は、変わらない。




「だから、その感情が憎しみでも構わないんだ。
 アリエッタが殺したがっているのが、”前のルーク”であるのなら、それだけで良いんだよ。」

 



アリエッタの手から刃が落ちた。
ルークの身体を無理やり起こして、その頭を力いっぱい抱きしめる。


もう、アリエッタにルークを殺すことは、出来なかった。


憎しみはある。母を殺したルークを許せないと心が叫ぶ。


けれど、この無垢な傷ついた幼子を、愛しい、と。守らなければと感じている自分も居るのだ。


だから、

 



「お前は、アリエッタが、殺す、です。」


「ああ。」


「お前の命は、アリエッタが、貰う、です。」


「勿論だ。」



「・・・・だから、お前の全ては、アリエッタの、もの、です。」



「・・・ああ。」

 

 

 





この傷ついた子供を攫った。


空を飛べるお友達に頼んで、お友達にしかこられない、この深い森の奥に連れてきてもらったのだ。


ルークの仲間達や、他の六神将や、総長も、今のアリエッタにはどうでも良かった。


ただ、ルークと、兄弟と、お友達だけが存在する、この場所で過ごすことが出来れば、それだけでいいのだ。

 

 

 



「ルーク、大好き、です。」


「おれも、アリエッタが、大好きだ。」

 


穏やかな木陰で、幸せな恋人達が笑う。


美しい箱庭を見守るのは、空と、風と、森の生き物達だけだった。



その場所は、永遠に守られる。


世界が終わる、その瞬間まで幸せだけに包まれる。

 


二人が静かに眠るまで、変わらずにあるだろう。

 

 

 

 

 

 

 


お姫様と、王子様は、ずっと幸せに暮らしました。

 



そんな、お伽話の結末。












 

 

 

拍手[3回]

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ありがとうございます。
 今晩は、36363hitのリクエストをした彩姫です。
 今回はリクエストに応じて頂き、ありがとうございました。

 話を読んで、アリエッタだけが「前のルーク」を求めてるという設定に心惹かれました。
 今までライガクイーンのことでアリエッタがルークを恨むのは間違っているんじゃないかなと思っていたのですが(クイーンの説得を諦めたのはイオンで、実際に止めを刺したのはジェイドなので)、ある意味でアリエッタがルークに執着する理由ならばこれはこれでいいかなと思いました。
 そして、PTメンバーが空気になっている所が逆にルークとアリエッタが互いに依存していると感じられ、本当に楽しく話しを読ませて頂きました。

 ありがとうございました。
彩姫 2009/11/17(Tue)22:07:19 編集
彩姫さまこんにちは。
彩姫様こんにちは。暁です。

ありがとうございます。気に入っていただけましたか?!
すいません許可を頂いたからと調子に乗りすぎたかと戦々恐々しておりました・・・・。

多少なりと彩姫さまのお望み添ったものであることを祈るばかりです。

リクエストしていただいて本当にありがとうございました!!
2009/11/18(Wed)15:31:35 編集
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