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・碇レンver
・今更ではありますが、時系列及び預言の在り方等諸々について、夥しい捏造が入ります。
特に創世歴時代の出来事や人物間の血縁関係や交友関係等は、公式設定とは全くの別物だと考えてください。
・本来お亡くなりになる方が生存してたり、マルクト・キムラスカ・ダアトへの批判・糾弾や、PTメンバーへの批判・糾弾・断罪表現が入ったりします
CP予定:
・・・キラ×ラクス(seed)
・・・カイト×ミク(ボカロ)
・・・クルーゼ(seed)×セシル(アビス)
・・・被験者イオン×アリエッタ(アビス)
・・・フリングス(アビス)×レン(碇レン)
です。上記設定がお好みにそぐわない、という方はお読みにならないようにお願いいたします。
「----で?これは一体どういうことなのか、納得のいく説明をくださいますわね?」
穏やかな日差しの降り注ぐ美しい公爵家の庭が、局地的なブリザードに晒される。そこでは、神々しい笑みを浮かべた公爵夫人と、樺茶色の髪の青年が、そろって足元の男を睥睨していた。
「グランツ謡将。貴方を狙った賊が原因で、ルーク様と私の妹の行方が知れなくなりました。
この責任はどう取ってくださるおつもりですか」
穏やかな笑顔で告げる青年の声は、これ以上ないくらい低い。
「い、いえ!シュザンヌ様、キラ殿!誤解です!あれは私の妹でして、」
「「ほう?」」
冷や汗に塗れた顔で必死に良い募るヴァンの言葉に、同時に応えを返すシュザンヌとキラの声が揃う。
「貴方は兄妹の諍いを我が屋敷に持ち込んだ、と。そう仰るの?」
「ここがどこか理解していないのですか?
選りにもよって、此処で起こった襲撃の犯人が、貴方の、妹?」
喉が凍りつく。見下ろす緑柱石と菫色が恐ろしすぎる。矜持も何もかもかなぐり捨てて只管に許しを請うしか出来ない。シュザンヌはともかく、この若造・・キラの威圧感はどうしたことか。幾ら若くして准将の位についたといっても、所詮は血筋の良さに託けて成り上がった若造だと見下していたのに。そんな侮蔑など浮かべる余裕もなく、震える声で弁解を重ねる。
「貴方はよほどわが国を侮っていると見える。
・・・それとも是はローレライ教団からの侵略行為の一環でしょうか。」
「そんなことは決して!!
申し訳御座いません。妹はなにやら誤解しているようでっ」
「まあ、誤解していたからなんですの?
貴方の妹君の所為で、私の息子と、レン・ヤマト嬢が連れ去られてしまったことに変わりはありませんのよ?」
「それは、事故で起きた擬似超振動が・・」
「その事故の原因は、貴方の妹とやらが行った襲撃が原因でしょう?
どの道責任はあなた方兄妹のものだ。
・・・こうしていても埒が明かない。お前達、グランツ謡将をお連れしろ!」
「お待ちください!妹の不始末の責任をとって私が二人を探しに、」
シュザンヌとキラの詰問にのらくらと答えるヴァンの言葉にうんざりしてきたキラが、傍に控えていた騎士に命じる。常々思っていたが、ヴァンの蒙昧振りには呆れるばかりだ。仮にも公爵家で起きた襲撃事件の原因が兄妹の諍いだと?どこまで馬鹿にしているのか。第三位王位継承者であるルークが巻き込まれたというのに、何故そこまで事態を軽く考えられる。ヴァンは、今ファブレに居るルークがレプリカだから、という意識があるのだろうが、現在公式に認められた公爵子息はルークなのだ。その重要性に思い至らないというのはどういうことだろうか。
(本気で計画を成功させる気があんのか、この鬚面の老け顔が!)
「何故襲撃犯の身内を捜索に向かわせなければならないのです。
普通に考えて共犯の可能性を疑うものでしょう。
大体ただの兄弟喧嘩の末に公爵家に襲撃などと、誰が信じるのです。
犯人が貴方の妹であるというのは事実なら、貴方方の諍いは演技で、
実はルーク様のお命を狙ったのだと考えることも出来るのですよ。」
「そのようなことは決して!!」
「もう良い!!弁解は取調べで聞く!早く連れて行け!」
ヴァンがこんな時期にルークを殺すはずがないのは分かっている。キラも伊達に数年かけて作り上げた計画を用意しているわけではない。これはただの嫌がらせを兼ねたヴァン拘束の口実である。
恐らく王は教団を慮ってヴァンの罪を軽く見る。最悪事態の重さに気づかない可能性も高いが、そちらは考えないようにした。とりあえず少しでも時間を稼げればいいだけだと思うことにする。日々募る苛立ちを此処で増量する必要はない。それよりも、まずはこのイレギュラーについて話し合う必要がある。
そっとシュザンヌと目を合わせて周囲を誤魔化すための大仰な会話を展開した。
「シュザンヌ様、御前失礼いたしました。」
「いいえ、ご苦労様。・・・・それよりも、妹御が心配でしょう、キラ。」
「お気遣い痛み入ります。
ですが、あれも些少ではありますが訓練を受けております。
必ずやルーク様をお守りするでしょう。どうか我らを信頼して戴きたく、」
シュザンヌへ冷静に返しながら、咄嗟に震えた手を強く握りこむ。言った事に嘘はない。レンならば余程のことがない限りルークの安全と自分の身を守るくらいは容易いはずだ。彼女の実力は、本気でやればキラすら凌ぐ。だが、妹を心配する兄としての感情がただ心配だと思うのは仕方がない。それをシュザンヌも理解している。彼女こそ、ルークのことが心配で堪らないだろうに微塵も動揺を見せない自制心は流石としかいいようがない。
「大丈夫です。ルークも己が身を守るくらい出来ます。
レン嬢の実力も知っています。二人は無事に戻るでしょう。」
「は、ありがとう御座います!」
「私は一度部屋に戻ります。エスコートしていただけるかしら?」
「かしこまりました。失礼いたします。」
礼儀正しく夫人の手をとって部屋へと向かう。今のキラの本職はシュザンヌの主治医である。二人で彼女の私室に向かうのは当然の事と誰も怪しまない。たどり着いたシュザンヌの私室で速やかに人払いを命じて二人は向かい合う。今回のイレギュラーをどう扱うか決めたら、ルークたちを探しにいかなければ。
「それで、キラ。ルークとレンの居場所はつかめているの?」
「いえ、今はまだ。ですがまもなく判明するでしょう。あれは擬似超振動です。
第七音素の収束地点を観測するレーダーの範囲を最高まで広げてあります。」
「そう、ならばそちらは問題ないわね。・・ヴァンをどうしましょうか。」
「インゴベルト陛下は、ヴァンを釈放するでしょう。
陛下にとって最も恐れるのは教団との軋轢です。主席総長を裁くなどできないでしょうね。」
「忌々しい。どこまで愚かに成り下がれば気が済むのかしら。我が兄ながら情けないわ。」
舌打ちまでしそうなほど苛立たしげに髪を掻き揚げるシュザンヌ。キラも同じ気持ちなためそっと見ない振りで話題を進める。
「シュザンヌ様」
「何かしら?」
「実はマルクトから和平の使者が発ったとか」
「・・・和平?」
「はい」
今日訪問した主題を告げる。怪訝な顔で聞き返すシュザンヌ。確かにこの時勢でいきなり和平の使者とは。
「・・・先触れや打診ではなく?」
「はい。既に皇帝からの親書を携えた使者が一団を率いて出発したということです。」
「随分と急な話ね」
「ええ、・・・その理由なのですが、どうやらアクゼリュスではないかと。」
空気が緊張をはらむ。硬い声でシュザンヌが問い返した。
「アクゼリュス・・・鉱山の町?」
「はい。・・・アクゼリュスでは今原因不明の瘴気の発生によって住民の大半が病に倒れたと。発生初期にとりあえず避難命令は出ていたらしいのですが、鉱山の労働者はそこ以外で生活するのが難しい者が大半ですからね。非難を渋っている内に瘴気障害に罹る者が急増し救難が必要になったらしいです。が、その為に使うはずの街道がマルクト側からのものは通行不可能になったようで。」
「その救援をキムラスカに求めるための和平を?
・・・・マルクトの現帝は優秀な方と聞いていたけど。」
「全くです。突然和平などと」
本来国同士の和平が、申し出と同時に締結されることなどありえない。打診や代表者同士の会談を重ね、互いの国への周知を徹底して本決まりになった暁に、使者を送って同意するというのが正式な手順というものだ。それを無視して使者をたてるなど、マルクトがキムラスカを軽視しているとしか思えない。まるで、和平をしてやるのだから、ありがたく受けるのが当然だと考えているのかと思ってしまって当然だ。
しかも今まで戦争が始まってもおかしくないくらいに緊迫していた敵国との和平を結ぶのだ。上層部だけでなく、国民からの同意も得ずに受けられるわけがない。十数年間の戦争や小競り合いで、どれほど互いの国の人間が死んだと思っている。和平を結ぶということは互いの国の民同士の交流だって必要だ。まさか名目だけの和平を交わしてそれで終わりに出来るわけがない。
「・・・しかも、アクゼリュスの状況が緊迫したものならば、それは脅迫に等しいのではなくて?」
「和平を断ったりしたら、アクゼリュスの被災者をキムラスカは見捨てるのかと謗られるでしょうね。」
「選りによって、鉱山の町・・・陛下は受けるわね。」
「受けますね。渡りに船ですから」
真剣な目を見交わす。キムラスカに詠まれている預言の内容を思い起こす。
「ND2018 ローレライの力を継ぐ若者人々を引き連れ鉱山の街へと向かう
そこで若者は力を災いとしキムラスカの武器となって街とともに消滅す
しかる後にルグニカの大地は戦乱に包まれマルクトは領土を失うだろう
結果キムラスカ・ランバルディアは栄え、それが未曾有の繁栄の第一歩となる」
「ええ、陛下たちはこの預言を信じている。縋っていると言っても良いくらい。」
「そうです。その為には”ローレライの力を継ぐ若者”を鉱山の町に向かわせなければならない」
「今までは敵国の領地だからと、思いあぐねていたけれど・・・」
「救援を求められたなら調度良い。
その救援部隊に””ローレライの力を継ぐ若者”すなわちルーク様を加えてしまえば良い」
「嬉々として決定する陛下達の様子が浮かびますね」
うんざりと溜息を吐く。どこまでも愚かな上層部に嫌気がさす。この想像が外れない確信があるから尚更に。
「・・・ですから、これを利用してしまいませんか。」
「計画を変更するのですか?」
不敵な表情で言うキラに、シュザンヌが質問する。
「いいえ、大本は変えません。
元々私達の主目的は預言に盲従する愚かさを、人々に知らしめることです。
預言に従ったが為に蹂躙される命があるのだと、それは他人だけでなく己が身に降りかかるかもしれない事なのだと実感させる必要があった。預言に盲従する危険性を実例つきでわからせる事が目的でした。
その為のヴァンです。」
「ええ、あの男の最終目的は知りませんが、とりあえずは”ルーク”・・今はアッシュですね。
アッシュの代わりにルークを使うつもりなのはわかっています。
教団員ならば、ルークをマルクトの領地に連れて行くことも容易いですし。」
「そしてヴァンがルーク様を利用してアクゼリュスを崩壊させようとした事実を突きつけてダアトを突くつもりでした。幾ら預言を信じていても、万単位の人を故意に死なせようとしたなどと聞いて平然と受け入れる者ばかりではないはずです。 それを実行したのが教団の主席総長であるなら、尚更教団自体への疑惑を強めることが出来ます。」
「それを切欠に預言から人心を離す。最終的には預言からの脱却、ですね。」
「ついでに、そんな預言を妄信して、第三位王位継承者を殺そうとした陛下たちには退場していただく、と。」
「既に保護している預言に殺されかけた者たちからの証言の準備も出来ていますし。」
「それを、どう変えるのですか?」
シュザンヌの声にちからが戻る。キラも嬉々として語る。
「今までの計画では、まずキムラスカ、次いでダアト、そしてマルクト、と少しずつ範囲を広げようと思っていました。」
「そうですね。今まで信じていた事を、突然全て捨てろといわれても難しいですもの」
「ですが、この和平です。・・・和平の使者殿を通してマルクトと協力することは不可能でしょうか?」
キラの言葉を吟味するようにシュザンヌが黙考する。
「・・・できるかも、しれません。
その為には使者殿の人柄を見定める必要がありますが。」
「慎重にやれば、一気に預言からの脱却を全世界同時に行えます。」
「できますか。」
「やるのです」
力強く宣言するキラ。じっと見つめるシュザンヌも頷く。
「そうですね、やりましょう。・・・レンも承知なのですね?」
「はい、これは二人で考えたものです。」
「もし、二人が飛ばされた先がマルクト国内であるなら・・」
「相手を見極める好機です。
使者殿と見える事が適わずとも、民の様子や皇帝の真意を探る情報の一つ二つ持って帰るでしょう。」
「ならば、今の私達がやるべきことは、」
「とりあえずは、情報収集と二人の捜索。」
「後は王宮の動向を見張って操作すること。かしら」
「「では」」
共犯者同士の笑みを交わして別れた。
戦闘開始、である。
03 | 2025/04 | 05 |
S | M | T | W | T | F | S |
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1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 |
書きたい物を書ける時に好きに書き散らしてます。文頭には注意書きをつける積りですので、好きじゃない、と思われた方はこのHPを存在ごとお忘れになってください。(批判とかは本当勘弁してください。図太い割には打たれ弱いので素で泣きます)
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現在の拍手お礼:一ページのみ(ティアに厳しい。ちょっと賢く敵には冷酷にもなれるルークが、ティアの襲撃事件について抗議してみた場合:inチーグルの森入り口)