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主人公総受け至上主義サイトです。特にエ/ヴ/ァの・碇・シ・ン・ジ・の女体化verが贔屓されてます。EOE後女体化したシンジが他世界へ渡る設定のクロス作品がメインです。(で、他作品キャラに物凄く愛されてます。)
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注記:♀シンジ(=碇レン)in N/A/R/U/T/O のクロス作品です
    スレナル設定でお送りいたしております。


 

「火影を越す! ンでもって 里の奴ら全員にオレの存在を認めさせてやるんだ!!」

 

 

 

 

 

少年は、新しく仲間になった者たちの前で、誇らしげに言い切った。
アカデミーを卒業し、大好きな教師が己を認めてくれた証である額宛を強く掲げて、未来への決意を語った。

普段の悪戯ばかりする幼さを取り払い、強く輝く瞳の青さはまるで澄んで深い海のよう。
里人達が憎悪を込めて忌々しげに見やる金色が、畏敬の念すら覚えさせるほどに神々しく光を弾く。

その瞬間、無関心に眺めやる教師も、嫌悪も露わに見ていた少女も、露骨に見下していた少年も、確かに心を惹き付けられた。

少年の言葉と表情には、とても強い決意と、深い思いと、壮絶な覚悟が込められていた。
裏側に隠された少年の真意を知ることがなくても、目を離すことが叶わぬくらいに真直ぐに心を貫く力を持っていた。

 

そして彼らの視線を一身に集める少年は、内心で今の自分の姿に笑った。

幼い頃は嫌悪すらしていた忍としての生き方を、建前混じりであっても誇らしく語る今の自分の変化に笑った。

忍になることを自らの意思で決意した、その瞬間を想って笑った。

 

 

 

 

 

++

 

 

 


大陸最強と謳われた木の葉の里が、崩壊寸前まで追い詰められた惨劇の夜から数年たった、とても暖かな春の日のこと。うららかな陽射しが眠気を誘うのどかな昼下がり。
里の外れの森との境で、全身を泥と血で汚した幼子が殺気を纏う男達に囲まれながら、呆然と立ち尽くしていた。

幼子が見上げる先には一人の少女が立っている。

年のころは10歳位。年齢的な平均よりは身長が高く反比例して華奢な体つきの少女が、傷ついた幼子を背後に庇ってたっていた。傍から見れば大の大人が殺気だち、年端もいかない幼子と華奢な少女を取り囲む異常な光景。・・・だが、それは幼子を庇う少女の姿以外なら、この里では当たり前の光景だった。

子どもの名前はうずまきナルト。 里を救うために差し出された九尾の器。

彼に対する里人達の暴行は、すでに日常の一環として行われるものとなっていた。
その日も、いつも通りに町を歩くナルトに絡んだ数人が、いつも通りに憎悪を込めて嬲っていたところだったのだ。ナルトにとっても、それらは最早日常生活の一環とすら言えるほどに当たり前の出来事だった。里人達の暴行は執拗で容赦がなかったが、里最高権力者の火影の命令で命だけは保障されていた。逃げようとしたり反撃したりすれば倍になって返されるだけだから、無駄な事はせずただ嵐が過ぎるのを待つように耐えていた。そこまでは、いつもと同じ展開だったのだ。・・なのに。

 


少女は片手に深い裂傷を負っていた。暴行を加える一人が振りかぶった鉄棒を弾いた時に出来た傷だった。どちらにとっても予想外の乱入者の姿にしばし時が止まる。男達は戸惑ったように武器を引き、庇われた幼子は呆然と少女の腕に視線を落とす。誰もが混乱しているなかで、少女だけが冷静に己の立ち位置を明確にするために身じろいだ。その拍子に滴った赤を見て、ナルトは呆然と彼女を眺めていた瞳に焦燥を走らせる。日常的な暴行で血の色を見慣れていたはずの彼が、初めて血を見たときのように恐怖すら覚えて無意識に少女に近づく。それに気付いた少女は、その時初めてナルトのことを振り返り、安心させるように微笑んだ。その表情にも仕草にも不自然な箇所はなかったが、だからこそ再び前を向いた彼女の腕から目が離せなかった。

少女が苦痛を感じない筈はなかった。流れ出る血量は辺りの地面を染めるほど。ぱっくりと開いた傷口に視界が赤く歪んで眩暈がする。知らずに服を掴んだ手のひらに重ねられた温もりに安堵して、同時に彼女の震えを感知する。

考えるまでも無く当然だろう。少女は己よりも年嵩ではあったが、多く見繕っても精々十才前後にしか見えない。どれ程優秀な者でもその年齢なら良くて中忍、普通ならアカデミー生、もしくは下忍というところだ。比べ、彼らを囲む男たちは成人した男性で、しかも中忍や上忍らしき者も数人交じっている。唯でさえ一対多数の状況で、忍は一般人に対する攻撃に関して厳しい規制がある。例え正当防衛だったとしても事実確認は厳密に行われ、その間は資格の凍結や謹慎処分を受ける事もありえる程の重罪である。それを逆手に取られれば不利なのは明白。それで無くとも中忍や上忍を敵に回して無事に切り抜ける事は難しい上に、忍同士の私闘も同様に厳しく罰せられる。例外は犯罪者を現行犯で捕える為など、正当性が認められる場合だが、この状況で彼女と向う側とどちらの証言が受け入れられるかなど簡単に推測できる。加えて理由が自分を庇っての行為となったら、情状酌量の余地も無く厳しく罰せられることなどわかりきっている。

この里では、それが ”当たり前”のことだった 。彼女の年齢でも、それを知らないはずはないのに。・・・・それとも、庇った子どもの正体に気付いていないのか。だとしても、上忍や中忍の行為に高々十歳程度の小娘が逆らうなどと愚かしいにも程がある。無謀な少女の行動に対する呆れと同時に、他人から無条件に向けられた気遣いを、嬉しい、と感じてしまう。一方で自分が誰か気付けば手のひらを返すのだろうと酷く醒めた思考が浮かんぶ。

そのナルトの葛藤を後押しするように、暴行に加わっていた男の一人が少女に向かって口をひらいた。

 

「おい嬢ちゃん。邪魔をするなよ。
 俺たちは、ただ仇を討っているだけさ。
 あんたも知ってるはずだろう?そいつは俺達から家族を奪いやがったバケギツ--- っ」

「おい!!それ以上口にしたら掟に触れるぞ!!」


荒んだ口調で言いかけた男の言葉を仲間の一人がとめる。しかし其処まで口にして、ナルトが九尾の器であることを理解できない者等、それこそ生まれたての赤子位だ。緘口令は敷かれていたが、九尾封印の器と成った子どもの存在は公然の秘密として里人全てに知られた事実。後数年後なら知らない世代もいるだろうが、未だあの惨劇から数年の今、知らない者等零に等しい。 

彼女も、当然気付いただろう。なら彼女も私刑に加わるか。それとも手を振り払って冷たい視線で見下ろすか。 其処まで考えてナルトは哂った。何を今更。

ナルトにとって、世界には二種類の存在しか居なかった。すなわち、自分に危害を加えるか、加えないかの違いだけ。そして危害を加えない人間は本当に僅かで、それもただ直接攻撃を加えてこないというだけの存在としてしか認識してはいなかった。それも当然。 ”危害を加えてこない”側に属している者達の殆ども、 直接害意を向けてこない、と言うだけでナルトの存在を認めないと言う意味では大して変わらず、ナルトに負の感情以外を向ける人間など極少数しか居ない。 好意を向ける存在など本当に数人だけで、三代目火影とその側近、或いは四代目の友人や事情を知ってる関係者くらいのものだった。

中でも三代目は実質的なナルトの保護者として可能な範囲でナルトを気遣い慈しんで護ろうとしてくれている。勿論それがナルト個人ヘの優しさではなく、里の力の一端としての九尾の器への政治的な配慮からくるものもある事は承知している。そうでなければ、只でさえ多忙を極める里長が、いくら四代目の遺児であるといっても世話に手のかかる幼子を庇護することが容認されるはずもない。しかもナルトの出自は里最高の機密事項だ。知ることを許されたのは四代目と個人的に付き合いのあった数人と執行部の最高幹部だけの状況で周囲を納得させる事は難しく、結局は事後承諾の力技で保護することになったのだ。里の上層部の承認がなければいくら火影であっても許される暴挙ではなかった。

里の上層部にとって、ナルトは四代目の遺児でなく、親を失った哀れな子どもでなく、未来の里の力となる可能性を秘めた守るべき幼子の一人でなく、人間としてすら認識されてはいなかった。彼らにとって”うずまきナルト”という単語は名前でなく名称だった。彼らがみたナルトは無力な人間の幼子ではあったが、それは単なる器の形としての認識で、その本質は巨大な力を内包した爆弾つきの駒だった。ナルトの保護を容認したのは里を生かすための方策の一環であって、火影の希望も子どもの安全も関係なかった。

巨大な尾獣を宿した器が不安定になれば、その封印も同時に危険に晒されることになる。今の疲弊した木の葉の里に、再び九尾に対抗する力などあるはずも無い。ならば、どれ程疎んじても器本人の生命の安全と封印を自ら抑制できる位の心身の成長を保障する事が必要であると里の上層部は判断したのだ。また、その巨大な力を制御可能な存在として保有する事は他里への牽制の為の武力として利用できると考えた。その程度の事は少し冷静に考えれば誰でもわかる理由ではあった。大多数の里人は私情に駆られて認識すらしない理屈でもあったが、それすら織り込み済みで下された決断だった。
 
しかし火影の想いにはそれだけではない好意も確かにあって、ナルトを酷く戸惑わせた。優しさの理由が "九尾の器” であり、”災厄の象徴としての里の生贄” に仕立てられた子どもにたいする哀れみと、子どもの未来と里の安寧を天秤にかけて選んでしまった罪悪感からくる同情でしかなくても、ナルトにとって好意と呼べる感情をくれる存在は希少なものだった。けれど感じた戸惑いが、無心に甘える事を許さなかった。だからナルトにとっての三代目は保護者ではあったが家族ではなかった。三代目自身が、負い目を持ちつつナルトを孫に向けるものとよく似た愛情を抱いてくれていることも知ってはいたが、受け入れて良い思いではない事も誰よりも理解していた。そして、火影が里を護る存在である以上、どれ程彼の愛情が本心からの想いであっても、それは里人達の平穏よりも優先される事情ではなかった。 

そんな状況で、通りかかっただけの少女が己の事を知って尚、気遣ったりする事などありえない、とナルトが断じてしまっても仕方がないことだった。

それでも、振り払われる掌が掴む虚空に、なにも感じない程に己の状況を受け入れきっているわけでもなかった。だから、突き放される前に自ら離れようとした。反射的に少女の服を掴んでしまった手を離して彼女の前に出ようとした体は、けれど優しく押し留められた。まるで傷を労わるような仕草に虚を突かれたナルトは思わず少女の顔を目上げる。その不安と疑念を色濃く宿した自分の瞳をみて、少女は心配を滲ませた柔らかな仕草で小さな体を抱きしめた。全身にこびりつく血や泥を厭うことなくナルトの事を抱きしめた彼女は、反対に己の傷から流れる血でナルトが汚れないように気遣って慎重に腕を動かす。彼女の漆黒の髪が風にゆれて頬をくすぐり、澄んだ深紅の瞳は柔らかな光を浮かべて真直ぐな気遣いを伝えた。・・・そんな風に、まるでただの子どもに対するように優しくされたのは初めてで、今度こそ本当に混乱して固まってしまった。動揺しきりのナルトの背中をそっとなでる手のぬくもりに、やっと僅かに力を抜いた自分を再び背に庇った少女は真直ぐに背筋をのばして男たちに向き直る。

一連のやり取りを呆けたように見ていた男たちは、少女の視線に我に帰って気色ばむ。あからさまに無視され続けた状況を反芻して苛立った彼らは、怒号を上げて武器を構えた。向けられる憎悪と殺気が怖くないわけがない。それでも彼女は取り囲む男たちを冷たい視線で見渡して、緊張で冷えた手を強く握り締めて立ち上がる。

そして笑った。鮮烈に。 まるで光を弾く刃のような鋭さで。
殺気交じりの澱んだ空気を切り裂く澄んだ声音が、取り囲んだ男たちを制した。

 

「好い加減にしてくださいな。
 大の大人が寄って集って無抵抗の幼子を嬲る理由に
 どんな正当性が認められると思うんですか。

 --- 例え貴方方の言い分のようにこの子の正体が、”それ”だったとして。 
 だからなんだと言うんです。目の前に傷ついた子どもが居るんです。
 それを助けて何が悪いと?私は未だ未熟でも医師の端くれ。
 けが人を保護するのに理由なんか必要ありません。 
 理解できたなら其処をどいてください。

 ---- 道を開けろと言ってるんです!!」 

 

言葉と同時に、不可視の壁が爆発したように拡がって男達を押しのけた。その隙を付いて少女はナルトを抱えて走り抜ける。残されたのは、寝起きのように呆として二人の背中を見送る男達。外傷はなく数分後普通に意識は覚醒したが異常に疲労した状態で、ここ数時間の記憶が曖昧になっていた。しばらく困惑して互いの顔を見合わせていたが、そのままではどうしようもないので首を傾げつつ散り散りに帰宅していった。

 

 


 

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ここは女体化シンジ(碇レンorシオン)溺愛サイトです。クロス・逆行・分岐に関わらず、レンorシオンが贔屓・溺愛されてます。(クロス作品では他作品のキャラと恋愛有(むしろメイン))
書きたい物を書ける時に好きに書き散らしてます。文頭には注意書きをつける積りですので、好きじゃない、と思われた方はこのHPを存在ごとお忘れになってください。(批判とかは本当勘弁してください。図太い割には打たれ弱いので素で泣きます)



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