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・碇レンver
・本来お亡くなりになる方が生存してたり、マルクト・キムラスカ・ダアトへの批判・糾弾や、PTメンバーへの批判・糾弾・断罪表現が入ったりします
CP予定:
・・・キラ×ラクス(seed)
・・・カイト×ミク(ボカロ)
・・・クルーゼ(seed)×セシル(アビス)
・・・被験者イオン×アリエッタ(アビス)
・・・フリングス(アビス)×レン(碇レン)
です。上記設定がお好みにそぐわない、という方はお読みにならないようにお願いいたします。
「ただ、守りたかったの。それだけだったのに ------------・・」
瘴気に覆われ薄暗い光しか通さない空を見上げて虚ろに笑った少女が一人。
魂が張り裂けてしまいそうな絶望の中で、自分と心を繋いでくれた存在にむかってこぼした嘆きを風がさらった。
+++
「そんな顔をしないでよ。私は大丈夫だってば。
むしろ役に立ててうれしいよ?
この世界で異端でしかなかった私に、絆をくれた貴方の助けになりたかったのだもの。
・・それに、私がどういうイキモノか、知ってるでしょう?だから、大丈夫。
彼が、時々は起こしてくれるって言うし、意識だけだけど外を見ることもできるって言ってたしね。
大丈夫、貴方の願いは叶うよ。ねぇ、だから笑って---」
深紅の瞳に純粋な思慕を乗せた少女が笑った。
自分の不手際で未完成のまま推し進められた計画の穴埋めのために、彼女はこれから永い永い時間をその力を利用されるための眠りにつかされる。戦場でぽつんと佇む少女を拾ったのはこんなことの為じゃなかったのに。ただ、表情のない虚ろな瞳が、寄る辺のない孤独な背中が、どうしても放っておけなかっただけだった。異端であるとか、彼女の持つ力がどんなものであるとか、そんなことは関係なかった。便宜上弟子ということに
していたけれど、自分にとってはただ可愛い妹として傍にいてくれた少女が大切だっただけなのに。
・・・どこで、なにを間違えたのだろう?
+++
「あの人を護る為なら何でもできると思っていたんです。
僕にでも、・・僕だからできることがあるのだと、信じたかった。」
闇の中で鈍い輝きを放つ刃を見上げて仕方がないというように笑った小柄な影が小さく呟く。
その瞳に憎悪はなかった。怒りも、恐怖も。ただ、悲しげにひとつ溜息を零して、
・・・・・・・・
「俺は俺の持てる力を全て捧げて彼女を守ろうと思ってた。
この剣で、全ての敵を倒してしまえば大事な人を護ることができるのだと、信じていたんだ。」
炎のように揺れる緋色の髪で表情を隠して呟いた。
彼の独白を聞いていたのは生まれた時からずっと一緒に生きてきた弟だけだった。
そっと上げた視線の先には青く澄んだ空を見上げて嘆く愛しい人の小さな背中。
「皆がいれば、願いはきっと叶うのだと信じてた。
戦争が終わって、また皆で笑って生きていけるのだと。
それだけで、よかったのに---」
沢山の人々の期待を背負って、愛した人の願いを叶える為に重圧に耐える兄をみて零した言葉は、
穏やかな木漏れ日の中に溶けるように隠された。戦争が終わって無駄に傷つく人達がいなくなったのは本当なのだから、こんな愚痴をいっては駄目なのだ。例え光の下で笑う人々の中に欠けてしまった仲間達の姿を探してしまう癖が治らなくても。残された彼らの笑顔に、消えない悲しみを見つけてしまっても。
確かに、今の世界は平和になったのだから。それだけは、確かに叶ったのだから。
「彼女は確かに強くて優秀な自慢の弟子でした。そして私が誰よりも尊敬する大切な仲間です。
・・・だからこそ、私が言うべきなのでしょうね。
・・・それが私の願いと重なってしまっていても、誰かがしなければならないのなら。」
彼女が隠し続けた激情を垣間見てしまった青年が吐息をこぼした。
幼いころからその成長を見守ってきた彼女が抱いてしまった望みを否定する権利など自分にないと知っていても、それでも彼女を諌めるのは己の役割なのだと自負していたから。実の娘以上に愛した存在が、今以上に傷つかなければいいと、それだけを願っているのに。彼女が酷く傷ついた瞳で、追い詰められた様な表情で、巣立った筈の門扉を叩いた時に、酷く後悔した筈なのに。大切な人たちを失くしてしまった、と凍りついたままの笑みを貼り付けて吐き出した子どもが、偶然手に入れた力を使って、二度と失わない為にやりたいことがあるのだと言ったその時に。この子どもが、もう二度と失くすことがないように、と力になると決めていたのに。儘ならない己の無力さを噛みしめながら穏やかな星空を仰いだ。
+++
「ねぇ、人形を--作ろうかと思ってるの。
プラネットストームが完成して、譜業や譜術が発達したでしょう?
それで昔ならできなかったことが可能になった。例えば以前なら死ぬしかなかった怪我の治療の為の譜術とか、 大量の物資を運ぶための運搬用の譜業とか。・・・軍事転用も進められて色んな弊害もあったけれど。
それは別として、そうやって利便性を認められた譜術や譜業だけど、結局国に殆ど独占されて一般人にはあまり 恩恵が得られないのが現状でしょう?それでね、特に生まれつきの資質が左右する上に希少な第七譜術師を、 もしも人工的に生み出せたら---絶対数が少ない為の弊害を、解決できないかしらと思ったの。
例えば・・・医師や治療師が常駐しない辺境の村や町にその人形を配置できたら、皆の不安が多少は軽減されるわよね---」
最近沈んでいる師である女性を元気づける為か、年若い弟子の一人が言った。
譜術より譜業制作のほうに才を発揮する女性で、最近は特に自動で動くタイプの譜業の発明にかかりきりになっていたはずだ。その彼女が言った計画は現時点では夢物語だが、実現できれば数少ない第七譜術師の負担を減らせるかもしれない。
もう一つ。譜業人形に、もしも人間の意識を移すことができるとしたら、自分では見ることのできないずっと遠い未来にこの時代の人間の意思を残せるということだ。
そうすれば、---そう、すれば?
「・・・わかってると思うけど、そんな便利な譜業を、国が黙って見過ごすとおもう?
確実に軍事転用を命令してくるでしょうね。
使い手の少ない第七譜術を確実な威力で発揮できる譜業人形なんて、どうぞ兵器にしてくださいと言ってるようなものじゃない。あの子の理想主義は知ってたけど、貴方は全部理解してる筈よね。・・・何をたくらんでるの?」
自分よりも少し年上の女性が言った。
周囲からは弟子として認定され、本人も面倒臭がって否定しないが、どちらかというと自分にとっては姉のような存在だった。彼女が美しく彩った唇を釣り上げて怪しく笑いながら視線を流す。その見透かすような瞳にただ笑って見せた。他の誰かに隠せても聡い彼女に隠し通せるとは思っていない。それに自分の計画を知られても彼女は反対などしないだろう。彼女にとって価値があるのは自分が望む研究を続けられる環境と、例外の身内数人の安全だけだ。それさえ保障しておけば、他の誰が何をしようと傍観者であり続ける。だから計画の為に必要ないくつかの研究を依頼した。
それが完成すれば、後は実行するだけだ。
「彼にはなにも言わないの?
愛した人に秘密を作られるのも作るのも辛いわよ」
同い年の女性が言った。弟子というより友人として一緒に戦ったからこそ通じる感情がある。
夫にも、育ての親であり師匠でもある彼にも、決して言えない秘密を共有できるただ一人。彼女が何を心配しているのかわかってはいる。けれど、もう自分は決めたのだ。一度根づいてしまったこの感情を昇華するには、もうこうするしか方法を思いつかない。
・・・これは皆への裏切りだろうか。
彼女の顔を見返すと、ただ全てを受け入れて包み込むような慈愛を映す視線だけが返された。きっと彼女はこの計画の結果がどうなっても自分を許すのだろう。だからこそその優しさが痛い。なりふり構わず縋ってしまいたい衝動を殺す為に強く両手を握りしめて踵を返す。
後戻りは、できない。
「母さんから伝言。
・・頼まれたものは完璧に作ったわ。後は好きになさい。・・・ですって。
----いいのね?」
弟子の内で最年少の少女が覚悟を見極めるように視線を合わせた。
研究を頼んだ彼女の娘で、すでに専門の分野で優秀な才能を発揮する科学者であると同時に随一の譜術の使い手でもある。自分よりもずっと幼いのに遥かに冷静な少女は今の自分をどう思っているのだろう。伝言と共に渡された研究成果を抱えて奥へと進む自分に向けられる視線を意識しながらぼんやりと考える。
後悔は、ない。許されたいとも思っていない。
何もかもが今更だ。だから、
純粋な願いは歪められ、奪われ続けた悲しみが怒りに変わった。
真実も事実も隠されて、残されたのは都合の良い歴史だけ。
世界の全てを壊し続けた戦争が終結してから二千年。
運命の歯車が、ほんの少し加速する。
終末か、始まりか。
分岐点が現れる。
-----選択の時が、きた。
「
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