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連載の一場面。書いてみたけれど、いろいろ矛盾が出てきて没にした場面。
(でも一部はそれなりに気に入っているので勿体なくなりました。すみません)
最初少し考えてた実はユリア様が直接のラスボスでしたネタ没シーンです。
もろもろの事情がわかって、マルクトで事情を話し合った後のフリングス×レンの会話
諸に恋情がむき出しな場面ですので嫌な人は絶対読まないでください。
この作品は、エヴァ×アビス基本+seed(キラ・ラクス・クルーゼ・カナード他)、ぼかろ(カイト・ミク・メイコ)設定がクロスする混沌クロス作品です。
・碇レンver
・本来お亡くなりになる方が生存してたり、マルクト・キムラスカ・ダアトへの批判・糾弾や、PTメンバーへの批判・糾弾・断罪表現が入ったりします
CP予定:
・・・キラ×ラクス(seed)
・・・カイト×ミク(ボカロ)
・・・クルーゼ(seed)×セシル(アビス)
・・・被験者イオン×アリエッタ(アビス)
・・・フリングス(アビス)×レン(碇レン)
です。上記設定がお好みにそぐわない、という方はお読みにならないようにお願いいたします。
「---わかって、います。ですが、私はこの世界を壊したくありません。
ユリアが---世界を壊そうとしているならば、私は-----------私が、 ユリアを・・倒し、ます。」
「レン殿?お部屋につきましたが・・」
柔らかな声音に顔を上げれば、銀色の髪を揺らしてこちらを窺うフリングス少将が扉を開けてくれていた。
考えに没頭しすぎて周りが見えていなかったようだ。引きつりそうになる頬を無理やり動かして笑みを返しながら慌てて礼を言いながら客室に足を踏み入れる。あくまで気遣わしげな態度を崩さない少将に申し訳なく思いながら挨拶をする。少将は女性の部屋に入るわけにはいかないと思ったのか、スマートにレンをエスコートするとすぐに部屋を出る。
「では、私は警備に戻らせていただきます。
明日の朝改めて迎えの者が参りますので、どうぞごゆっくりお休みくださいませ。」
「ありがとうございます。」
「いえ、では失礼いたします。」
静かに扉が閉められた途端全身の力が抜けた。今にも倒れてしまいそうな身体を引きずるように寝室に向かおうとする。とにかく今は何も考えずに眠ってしまいたかった。
・・・・全部がただの悪夢なら、どんなに良かったのかと、今更な弱音が思考を過る。
「(本当に、何言ってんだか。・・・我ながら、なんて、情けない・・・。)」
己を叱咤するように強く頭を振ってベッドに歩む寄る。だが只でさえ疲労でふらふらの身体を無理に動かしたのが祟ったらしい。急激な眩暈に襲われて転びそうになる。咄嗟に支えようとした手が傍らのテーブルを掴もうとして目測を誤り、上に乗っていた花瓶を払ってしまった。甲高い音をたてて砕ける花瓶と散らばる花。慌てて片付けようとして身を屈めた処で扉がノックされ、先ほど別れたばかりのフリングス少将の心配そうな声が聞こえた。
「レン殿?!どうかなさいましたか?」
「ああ、すみません。花瓶を倒してしまって・・・今、片付けます。」
部屋の警護担当の部下と確認でもしていたのだろう。不穏な音を聞いて心配させてしまったようだ。申し訳なく思いながら答えを返す。そんなレンの声に何かを感じたのか、フリングスの声が更に気遣わしげなものになり入室の許可を求められた。正直今は誰とも顔を合わせたくなかったが、これは自分の落ち度である。マルクト宮殿の備品を壊してしまった申し訳なさを合わさって務めてなんでもないように返すと破片を拾う作業を続けた。
「失礼いたします。レン殿、・・・ああ、駄目ですよ。
今メイドが参りますので、居間の方でお待ち下されば・・」
「いえ、私の落ち度ですので、」
床に屈んで破片を拾い集めるレンに慌てたように近づくフリングス。そっと手を押さえられて居間の方へ促される。この程度で宮殿の人に手間をかけてしまう申し訳なさに目を伏せるレン。そんなレンを安心させるように微笑むフリングスが優しく背中に手を添えてエスコートしようとしてくれる。
「お疲れなのですから、あまり無理なさらないでください。」
自分が原因で引き起こされた事や、記憶を取り戻して判明した立場を考えれば、敵意を向けられても仕方がないのに。何処までも純粋に優しい気遣いを向けてくれるフリングスの笑顔に、ほっ、と気が緩む。その、瞬間。緊張を緩めてしまった所為か、唐突に込み上げた吐き気に我慢しきれず、フリングスを突き飛ばすように洗面所に駆け込む。まるで、謁見の間で告げた言葉と封じたはずのユリアへの思い全てを吐き出してしまえとばかりに、胃が痙攣して喉を焼いた。絶対に言えない言葉を吐き出す代わりのように次から次へと込み上げるものを納める為につき掛けた体力が削られる。勢いよく流れる水に全てを溶かしてしまえればどれ程楽になれるだろうと埒もない考えが過っては自嘲の笑みがうかんだ。
「(ユリア、ユリア、ユリア・・!倒す・・私が?
ユリアを護りたくて強くなったのに、彼女を助けたくて選んだ筈の道だったのに!
結局追いつめたのも、きっかけを与えてしまったのも私の軽率さだったなんて、・・なんて滑稽な。
ああ、けど、・・ どうして、なんて言う資格なんかない。・・けど!)」
走り去るレンの後を追いかけるフリングスが、洗面台に身を屈めて苦しげに咽る背中をさする。
面倒を掛けてしまって申し訳ないという思いと、こんなみっともない姿を晒すなんて、という思いが半々に脳裏を過るが、身体を起こすことができない。それでも何とか呼吸の合間に言葉をはきだした。
「す、すみま・・せんっ。 大丈夫、です、から。
どうかお仕事に、・・戻って、ください。」
「お気になさらず、無理に話そうとなさらないで宜しいですよ。」
フリングスは何処までも優しい笑みを崩さずにレンの言葉をやんわりと退ける。どうやらレンが、人見知りする性質なのを見抜いていたらしい。この場では一番顔を合わせた事が多い自分が一番マシだと思ったのか、ただ落ち着くまで付き添ってくれた。
実際に、別室で皇帝と話し合いの真っ最中であるルークやカイトを呼び出すわけにはいかないし、セシル将軍は既にキムラスカへの帰途についてしまっている。ラクスなら大丈夫かもしれないが彼女も一度館に戻って資料を確認すると言っていた。現在宮殿内で多少なりともレンが緊張を緩めることができるのは、アクゼリュスへの道中を共に過ごしたフリングスくらいだ。手放しで親しい、というほどではないが彼の人となりは十分信頼に値すると知っている為、気を張らなくても大丈夫だと思ってしまっている。
「・・・・すみません。もう、大丈夫です。
少将のお手を煩わせて申し訳ございませんでした。
すぐに戻らなければならなかったのでしょう?」
「いえ、陛下からレン殿がきちんとお休みになるのを見届けてから戻れと言われていますので。
・・それよりも、医師をお呼びいたしましょうか?それとも何か薬湯でも・・」
「本当に大丈夫です。少し疲れているのかもしれません・・・情けないですね。」
なんとか落ちついて顔をあげるとすかさず冷たい水を差し出されて甲斐甲斐しくソファに運ばれてしまう。思わず赤面しながら眉を下げて謝罪するレンに、穏やかに微笑むフリングス。どこまでも迷惑をかけ通しで申し訳がなさすぎる。だがあまり謝罪を重ねすぎるのも失礼な気がして冗談めかして笑って見せた。だが、なにか失敗したのだろうか、フリングスの笑みが崩れて心配と驚愕をない交ぜにした表情でこちらを凝視している。そんなに可笑しな表情だったかと、頬に手を伸ばして気づく。
「---あれ?」
頬に触れた指先が冷たい。しかも次から次へと滴が落ちて掌を濡らす。ぼんやりと指を見下ろすレンの瞳から涙が止まることなく流れ続ける。
「レン、殿・・・」
戸惑いからか擦れた声で呼ばれて、そのまま顔を上げた。フリングスの表情を見て、ああ、また心配させてしまったと思って情けなさが募る。彼も早く皇帝陛下の元に戻りたいだろうに、面倒そうな様子など全く見せずに世話してくれる。早く泣きやまなければ、と焦って目を擦ろうとすると突然手首を掴まれる。痛くはないが唐突なフリングスの行動に驚いて顔を上げた。そこにあったのはまるで戦闘の時のように真剣な光を浮かべる薄氷の瞳。ついに怒らせてしまったかと思わず身をすくめ、誤魔化すように笑みを浮かべると、強い力で抱きしめられた。
口元にフリングスへの謝罪と感謝を表すように穏やかに笑みを浮かべて、感情を封じたように凪いだ瞳から透明な滴を落とす。本気で不思議そうに首をかしげるあどけない仕草が、少女の可憐さを際立たせる。謁見の間で見せた凛とした女性の姿は今はなく、ただ誰かに守られなければ容易く失われてしまいそうな儚さに胸を突かれる。その時、フリングスの頭には互いの立場や今の状況など欠片も存在しなかった。ただ無心に、目の前の少女を、守りたい、と、それだけだった。無意識に伸ばした掌が、顔を強く擦ろうとする少女の手首を押しとどめる。代わりのように濡れ続ける頬をそっと拭う。ぼうっと指先を濡らす水を見つめていた少女の瞳がフリングスを映した。そして浮かべられた壊れてしまいそうな笑みが、フリングスの心を縛った。
「レン殿・・・」
レンを強く抱きしめたのも、止まない涙を辿る様に指を滑らせたのも、眼尻に落とした唇も全て無意識だった。
ただレンの涙を止めたくて、彼女が消えてしまいそうなのが怖くて、その存在を確かめたくて触れてしまっただけだった。
唇が触れたと認識した途端に鮮やかに頬を染めた彼女の姿に、我に帰った。
それでも、今の行為を後悔する気も撤回する気も全くなかった。
ああ、自分は彼女が愛しいのだと、気づいてしまった。
けれど、今彼女にそれを告げてはならないのだということも分かっていた。
だから、この行為の意味に気付かせないように、幼子を慈しむような口調で静かに諭して誤魔化した。
今のレンに必要なのは、無条件に彼女の感情を受け止めてくれる柔らかな抱擁なのだということにも気付いていたから、せめてその役割位は自分が勤めたいと想ってしまった。きっとルークやカイトはレンの為なら皇帝との謁見すら蹴る事も辞さないだろうし、ピオニーも快くルークをこちらに向かわせるだろう。セシル将軍だってレンの為なら多少の無理を押しても即座に帰ってくるだろうし、ラクス嬢も全力で駆けつけてくる筈だ。キムラスカで待っているはずのキラは妹の為なら空間転移位容易くできそうだ。けれど、己の想いを告げられないなら、せめてこのぬくもりを少しだけでも感じていたいと思ってしまう。
「(きっとルーク様やカイト殿を呼んだ方が彼女は安心できるのでしょうけど、・・)
レン殿。泣きたいなら泣いてしまいなさい。
辛いと思う事も、痛いと思う事も、恥ではありませんよ。
・・・あなたが誰よりも傷ついているのだと、皆わかっています
・・よく、頑張りましたね。」
凪いでいた瞳に小さな波紋が広がる。
深い深い紅の瞳がゆらゆらと揺れる。
それでも、表情は、動かなかった。
嗚咽も漏れない。
ほとほとと落ちる滴がフリングスの服に染み込んでゆく感触だけが、彼女の心を表す証。
自分ではダメなのかと沈む心を自嘲しながら、ただ優しく抱きしめて、その涙を受け止める。
「(こんなに自分勝手な行為にでておいて、それでもこの女の全幅の信頼が欲しいなんて、
・・なんて無様な)」
窓から差し込む月光が、二人の影を優しく包む。
ふわりと降りる夜の闇だけが、フリングスの心を慰めるように揺れた。
「(・・・いつか、言う事ができたら・・・)」
じんわりと胸元に広がるぬくもりと、胸を焦がす切なさを抱えて、きつく瞼を閉じる。
「(・・いつか・・・)」
心の内の葛藤の激しさを決して悟らせないとこと全力を傾けて、少女を優しく抱きしめた。
宵闇に映える銀色の髪が、穏やかな風に靡く。
各々の心の揺れる様など知らぬ気に、静かに、穏やかに、夜が更けていった。
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書きたい物を書ける時に好きに書き散らしてます。文頭には注意書きをつける積りですので、好きじゃない、と思われた方はこのHPを存在ごとお忘れになってください。(批判とかは本当勘弁してください。図太い割には打たれ弱いので素で泣きます)
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