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主人公総受け至上主義サイトです。特にエ/ヴ/ァの・碇・シ・ン・ジ・の女体化verが贔屓されてます。EOE後女体化したシンジが他世界へ渡る設定のクロス作品がメインです。(で、他作品キャラに物凄く愛されてます。)
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この作品は、エヴァ×アビス基本+seed(キラ・ラクス・クルーゼ・カナード他)、ぼかろ(カイト・ミク・メイコ)設定がクロスする混沌クロス作品です。

・碇レンver

・今更ではありますが、時系列及び預言の在り方等諸々について、夥しい捏造が入ります。
 特に創世歴時代の出来事や人物間の血縁関係や交友関係等は、公式設定とは全くの別物だと考えてください。

本来お亡くなりになる方が生存してたり、マルクト・キムラスカ・ダアトへの批判・糾弾や、PTメンバーへの批判・糾弾・断罪表現が入ったりします



CP予定:
・・・キラ×ラクス(seed)
・・・カイト×ミク(ボカロ)
・・・クルーゼ(seed)×セシル(アビス)
・・・被験者イオン×アリエッタ(アビス)
・・・フリングス(アビス)×レン(碇レン)

です。上記設定がお好みにそぐわない、という方はお読みにならないようにお願いいたします。



 


「おかえりなさいませ、ルーク様。」

 

フリングス侯爵との外出から帰ったルークを、与えられていた客室で出迎えたのはガイだった。まず会うのならカイトだと思っていたルークは少し驚く。ガイの何やら鬱屈した感情を察していたから尚更に。


 

「ああ、ただいま。・・せっかく来てくれてたのに部屋に閉じ込めておいて悪かったな。」


「いいえ、」


「・・なんか、あったのか?」


「何も、ありません。」


「だが、」

 


ガイが、ルークの迎えに寄越された理由は、恐らくシュザンヌが与えた最後の機会だ。ファブレの外の世界で、計画の本格始動前に決着をつけておけということだろう。ガイは、ヴァンと親しいのだ。真実を話せないならば、何れ遠ざける必要がある。その期限がぎりぎりにまで迫っていることも察していたが、母に余計な手間をかけさせるまで決断できなかった己の優柔不断さにはすこし呆れてしまう。
だから、ルークも心を決めねばならない。


 

「・・・お前、何かいいたい事があるんじゃないか?」


「・・・・・ルーク、様は、」

 


「お帰りなさいませ!マスター!!」

「お帰りですの!!」

 


逡巡しながら口を開いたガイの言葉を遮って部屋に飛び込んできた、青い影が、二つ。

 


「・・・・・カイト、ミュウ。」



「マスターがお帰りになるのをお待ちしてました!!・・あれ?何かありましたか?」

「どーしたんですのー?ご主人様もガイさんも元気ないですの?」


「・・いや、なんでもないよ。・・ルーク様、それでは失礼いたします」

 


低い声で名を呼ぶが、そんな様子には全く気づかない忠犬コンビが屈託のない様子で首を傾げた。ルークもガイも、お互いにタイミングを逃したことを知る。ガイは直ぐにいつもどおりの爽やかな笑みで挨拶して部屋を出た。残されたルークが脱力して傍らの椅子に座る。



「マスター?」

「ご主人様?」


「お前ら、なあ・・・・あ~~~もう良いよ。で?待機中になんかあったか?」


「いいえ、ただマスターに早く会いたかっただけです!」

「ですのー!」


「あーはいはい。大人しく待ってて偉かったな。・・ほら土産もあるぞ。」


「ありがとうございます!!」

「ありがとですの!!」



青年の姿の割りに感情の機微が幼いカイトと、まだまだ子どものミュウはやけに気が合うようだった。特に両方がルークを第一に考えているところとあけっぴろな好意の現し方が特に。その明るさがルークにとっては癒しであるのは事実であるが、細かい空気を読み解けるようになってくれればもっと言うことはなくなるのに、と思いつつ苦笑した。


(こいつら見てると、深刻にはなりきれねぇなぁ・・・ガイとは、また機会を選んで話すしか、ない、か・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 


イオンは、与えられた客室で休んでいた。セントビナー滞在の理由の一つがイオンの回復のためであるのだから、ふらふら出歩く姿を見せるわけにもいかないという理由もあったが、常人よりも体力が不足しているのも本当なのだ。これまでは気力で頑張っていたが、ラクス達に保護されたことで気が緩んだらしく、微熱があった。カナードはアニスを追いかけてもらっているのでまたもや一人であるが不安はあまりなかった。


 

「---失礼いたします、導師イオン。
 ルーク様とレン様がいらっしゃいましたが、お通しいたしますか。」


「ああ、ありがとう。二人に入ってもらってください。」



休んでいたベッドから身を起こして簡単に身支度を整える。そうするうちにメイドに案内されたルークとレンがやってきた。

 


「失礼いたします。導師イオン、お加減はいかがでしょうか?」

「失礼いたします。お休みのところをお邪魔いたしまして申し訳ございません。」


「いいえ、ありがとうございます。
 ・・・お二人とも、此処は一時的とはいえ僕の私室ですから、どうか普通に話しませんか。できればカイト殿達と話すような感じでお願いします。僕のこともどうかイオンと。」



ルークとレンが何くれとなく気にかけてくれるからだ。本当に一人きりならともかく、短い期間とはいえ、それなりに一緒に過ごした同年代の知人の存在はイオンにとって嬉しいものだった。未だ友人未満、ではあるので口調が固いがそれも追々親しさを深めていけば友人にもなれそうだと密かに浮かれていた。


 

「・・・そうですね。・・いえ、そうだな、ではイオン、私、いえ俺のこともルークで。」



イオンの表情を読んで、内心を悟ったらしいルークが、まず口調を崩して表情を気安いものに改める。それをみたレンも倣った。



「では私のことも、レン、でお願いします。イオンさん、でよろし・・いえ、良いです、か?」

 


ルークの口調はまだ多少敬語が残っているが、この程度は仕方ない。レンのほうは、素でもこの話し方なのだ。これからもっと親しく慣れたら自然に話せるようになるだろうし、と、イオンは満足げな笑顔で肯いた。


 

「はい、ではルークとレン、でいいですか?」

「「はい。」」



ルークとレンが肩の力を抜いて笑う。三人の間の緊張が緩む。



「ああ、昨日は俺たち、フリングス侯爵の案内で町の観光をしてたんですけど、」


「イオンさんは療養中ということでご一緒できなかったでしょう?
 だから、代わりといっては何ですが、お土産を買ってきたんです。」


「本当ですか?ありがとうございます。」

 


笑いながらレンは一緒に運んでもらった箱を示す。先程のメイドが持ってきて傍らのテーブルにおいていって貰ったものだ。二人の許可を得てからイオンは箱を開けてみた。


 

「この町は花を使った加工品が多くて、どれもとても綺麗だったから、是非イオンも見てみたいだろうと思って。」

「はい、私が選ばせて頂いたものなのですが。」


「これは、・・綺麗です、ね。とても良い香りもします。」



箱の中身は精緻な細工の銀の籠に盛られた飴菓子だった。透明や琥珀や薄紅の小さな立方体の中に、小さな花が閉じ込められている。其々の味と香りも違うらしく、添えられた説明書きのカードを読む。食べるのが勿体無いが、食べてみたらどんな味がするのかと想像するだけで楽しくなる一品だった。


 

「以前、レンが食べたことがあるらしくて、フリングス侯爵に聞いた店で買ってきたんです。」


「はい、兄が頂いた物だったのですが、綺麗なお菓子でとてもおいしかったので、是非と思いまして。」


「ありがとうございます!嬉しいです。他には何を見ましたか?」

 


三人で和気藹々と話す。二人の土産話を楽しみながら、一方で何とか今日は無事に過ごせそうだと安堵する。カナードは表向き正式な導師からの使いとしてダアトに知らせを持っていっていることになっている。同時に鳩で連絡しておいた守護役の増員を待っているのだとも説明されているはずだ。


 

(アリエッタならばもうダアトに戻っているだろうし・・カナードの腹心かトリトハイムが選んだメンバーならば問題はない。 こうなると、現時点でヴァンが拘束中なのは都合が良いですね)



「・・へぇ、では是非、次の機会には一緒にまわりましょう。僕も直接見てみたいです。」

「はい、じゃあイオンが回復したら一緒にでかけようか。約束ですよ?」

「ふふふふ」



楽しげに笑う二人に、イオンも癒される。イオンが寂しくないように、と出かける前にも言付けをくれたりメイドを通じて体調はどうなのかと心配する様子も聞いている。隠し事をしている身としては些か辛いところだが、二人の優しさはイオンにとって何よりの薬であった。本来年単位での準備が必要な使者の派遣であるから、このくらいの滞在期間を疑われることはない、と信じたいところである。



(幾らなんでもカナードが引き返す時間はないですけど、カイツールにいくまでにアニスを捕まえておいてくれれば親書は無事に確保できる。カイツール側から捜索しているラクス殿の部下もいるはずだし・・連絡が来次第追いかければ、親書の不在を隠しきれる、筈、・・・とにかくカナードか、ラクス殿の手配した方からの連絡が届けば・・)


 

内心の必死さをおくびにも出さずに談笑を楽しむ。今イオンに出来るのは、二人と共に準備を待っているという演技だけなのだから余計なことは考えずに交流だけに集中することにした。


 

(・・・・・・チーグルの森で話そうと思ってたことは・・今は置いておいたほうが良いでしょうしね)

 

ルーク・フォン・ファブレ、”聖なる焔の光”に、預言についての考えを聞いてみたかったのだ。これはイザナからの指示でなくイオンの独断だが、ルークがキムラスカの預言についてどう考えているのか確認してみようと思っていた。アッシュとルークの相似性・・・表情雰囲気があそこまで違うにも関わらず、どう見ても二人は全く同じ容姿であると判るほどの相似性に、被験者・レプリカであると確信したが、だったら尚更ルークに預言についてを聞いてみたかった。



(アッシュの事も、・・・多分気づいているみたいですけど、アッシュが何故ダアトにいるのか、はどうなんでしょうか。 知って、いるのか、いないのか・・・知ってても、どう考えるのか、を聞いておきたいところですけど・・・)



今、余計な話を持ちかけて、隠し事を察知される危険は犯せなかった。個人的な感想を言えば、ルークはとても優しい人物だ。ほぼ初対面のイオンや、魔物であるライガの命や安全を本気で守ろうとする位に、生きることに対して真摯に考えているようだった。だが、彼はとても優秀な王族でもある。もしも、キムラスカの繁栄を詠まれた預言に従うことを命じられて、あるいは彼自身が預言を信じていたら、その優しさを置いても国の決定に従う可能性もあった。国の為、であると判断したら己の命を惜しんで逃げるような真似をするとは思えない。



(唯々諾々と従うことはしないでしょうけど、自分で決めたら最後まで貫くでしょうね。たとえそれが己の死でも。)



これまでの彼の様子を見て、その頑固さと意思の強さも理解した。
その彼が、預言について何処まで知っているのか、是非確認しておきたかったのだ。

 

(けど、今は無理、か。バチカルに着くまでに聞く機会があればいいんですけど・・・)



「---失礼いたします、導師イオン、導師守護役の方がお見えです、お通しして宜しいでしょうか。

「ああ!到着してくれたんですね。はい、ではお願いします。」



そこで再びメイドが扉越しに伺いを立てる。一つ懸念事項が減った事をしったイオンが、にこやかに許可を出した。そこでルークとレンが目配せをした。退出の挨拶をしようと思っているのだろう。


 

「では、イオン、俺たちは、」


「いえ、ルーク、レンも、どうか新しい守護役に紹介したいのでいてくださいませんか。」


「そう、ですか?ではお言葉に甘えて」

「はい、ありがとうございます。」

 


二人を引き止めて扉に向き直ると同時に、小柄な少女が入室した。ローズピンクの髪のあどけない表情の少女。アリエッタだ。イオンがあからさまに安堵する。その様子に、アリエッタがイオンの心許せる味方なのだと悟ったらしいルークとレンが安心したようににっこりと笑っていた。



(ああ、本当にお二人に隠し事は気が引けますねぇ・・・)



「アリエッタ、ご苦労様です。」



二人が本当に自分を心配してくれていることを実感して尚更良心が痛むが、仕方がないと気を引き締めてアリエッタに声をかける。

 


「顔を上げてください。発言も許可します。
 ・・・ルーク、レン。ダアトから導師守護役として新しく派遣されたアリエッタ響手です。二年前に一度守護役を降りて師団長になっていたのですが、今度のことで改めて守護役に任じられることになりました。

アリエッタ、こちらのお二人が、キムラスカ・ランバルディア王国のルーク殿とレン殿です」



「ご紹介に預かりました、キムラスカ・ランバルディア王国国軍元帥クリムゾン・ヘアツォーク・ふぉん・ファブレが一子、ルーク・フォン・ファブレです。はじめまして」


「初めてお目にかかります。キムラスカ・ランバルディア王国ヤマト公爵ハルマ・ヤマトが第二子、レン・ヤマト、と申します。どうぞ、お見知りおきを」



イオンに紹介された二人はアリエッタに一礼する。



「お初にお目にかかり、ます。ローレライ教団神託の盾騎士団所属、アリエッタ響手、です。ご尊顔を拝謁できて光栄、です。」



僅かにぎこちないテンポであるが、礼儀正しい立ち居振る舞いで紹介された2人に名乗るアリエッタ。その濃いピンク色の瞳がルークとレンを認めて僅かに和む。その表情に既視感を覚えて二人は内心不思議に思う。が口には出さずにイオンが進めるまま再び腰を落ち着ける。アリエッタは許可を得てイオンの傍らに控える。急いで着てくれたアリエッタにはわるいが、此処で二人を追い出すのも気が引けたのだ。それを視線で伝えるとアリエッタも無言で肯いてくれた。それに甘えて再び三人で談笑する。その間時々イオンやルークから向けられた会話に控えめに答えつつ護衛の心得に忠実にしたがって無表情のまま静かに控えるアリエッタだが、心なしそわそわと二人の動きに反応しているのに気づく。不思議に思ってアリエッタに訊ねた。



「アリエッタ?どうかしましたか、先程からお二人が気になるようですが。」


「いえ、失礼、しました、です。」



ルークとレンも気づいていたらしい。優しく笑ってアリエッタに促してくれる。

 


「どうぞ、楽になさってください。此処は私的な場、ですから。ねぇイオン。」


「はい、ありがとうございます、ルーク。
 ・・アリエッタ?何かいいたい事があるのならどうぞいってみてください。」



それでも躊躇っていたアリエッタだが、再びイオンが呼ぶとたどたどしく話し始めた。

 


「あの、・・・イオン様、と、ルーク、様、レン、様、がママを、助けてくれたって、聞きました、です。
 ありがとうございました、です。」


「「「ママ?」」」

「あの、アリエッタ?ママ、というのは、・・・もしかして、ライガクイーン、ですか?」



揃って疑問の声を上げた三人だが、はっとしたようにイオンが尋ねる。

 


「はい、です。アリエッタのママ、火事でお家が無くなってチーグルの森にいた、です。
 でも、そのままじゃ人間に追われるかもしれないって、教えてくれた人がいた、って聞きました。
 あと、ママとアリエッタの弟妹を守るために戦ってくれた人、いるって。」


「イオン?」


「ああ、すみません。彼女はホド戦争で両親を失って魔物に育てられたんです。
 魔物と会話できる能力を買われて神託の盾騎士団に入隊しました。」


「はい、です。イオン、様には詳しく話してなかった、です、けどライガクイーンが、アリエッタのママ、です。」


「そうだったんですか。ではご無事に新しい住居に着いたんですね」


「はい、イオン様、新しいお家を教えてくれてありがとうございました、です。」



その会話を聞いて納得するルークとレン。二人も喜んでアリエッタに訊ねる。先程の既視感の理由も悟る。あのアリエッタの表情は、クイーンがレンを見つめたときにした表情とそっくりだ。



「成る程、そうかアリエッタの表情はクイーンに良く似てるな。
 ・・じゃあクイーンも卵も無事なんだな。」


「女王陛下のお体の具合はどうかしら?あの後体調を崩されたということは、」


「いいえ、元気、です。弟妹達も無事に生まれました、です。
 ルークさまとレン様も、ママのこと心配してくれて、ありがとうございました、です。」



アリエッタも、純粋に母を心配してくれる二人に何時も以上の笑顔で答える。人見知りが激しく、仕事以外ではイザナやカナード達身内の人間には大抵顔を隠してしか言葉を交せないはずのアリエッタには珍しいことだ。それだけ二人の気持ちが嬉しかったのだろう。イオンも喜んで会話に加わった。


 

「ではレンがかけてくれた譜術が効いたのですね。
 産後の身体であの距離を移動するのは確かに大変だから気になっていたのですよ。」


「はい、です。ママも、黒髪の少女が、使ってくれた術のお陰で元気になったっていってました、です。」


「よかった、教えてくれてありがとう、アリエッタ。」


「ああ、これで安心できるな。無事かどうか俺たちじゃ確認しようがないから気にはなってたんだ。ありがとな、アリエッタ。」


 

お礼を言いたかったのはアリエッタのほうなのに、反対にお礼の言葉を貰ったアリエッタが表情を輝かす。ルークとレンに本当に好意を抱いたらしく、その手に持っていたぬいぐるみをぎゅう、と抱きしめている。魔物に育てられたということで神託の盾騎士団では何かと差別的な扱いを受けたりしていた彼女にとって、二人の言葉は警戒心を溶かしきるのに十分な効果があったらしい。イオンにとっては時に怖い姉のようなアリエッタの、少女のような笑顔は珍しくも嬉しいものだから尚更浮かれてルーク達との会話を楽しんだ。いつの間にか夕食時になって、メイドから呼ばれるまで夢中になってしまった。



「---ああ、こんな時間まで失礼しました。
 見舞いに来たのに却ってお疲れになったのでは、」


「すみません、イオンさん。気が利かなくて。今日はこれで失礼しますね。」


「いいえ、とても楽しく過ごせて嬉しかったです。また是非遊びに来てください。」


「・・アリエッタも、また、お話したい、です。」

 


慌てて暇を告げるルークとレン。イオンはルークの言葉に首を振ってにこやかに見送る。アリエッタもレンに笑いながら強請っている。二人が礼儀正しく一礼して扉をとざすまでイオンとアリエッタは満面の笑みで見送った。


 

「・・アリエッタもすみません。つい夢中になってしまいました。」


「いいえ、アリエッタも楽しかった、です。お二人とも、いい、ひとです。」

 


お互いに苦笑で謝りあって、報告と話し合いを始めた。



「ええ、本当に。できれば平和なときにお会いしたかったですね・・・で、早速、というには時間を置いてしまいましたが、貴方が来てくれたと言う事はカナードはもうアニスに追いつけた頃でしょうか。」


「はい、です。此処に来る途中、まずはカナードに、お友達を貸すように、イザナ様に、言われてました、です」


「ああ、流石ですね。では親書の確保はもう出来ているでしょう。あとは知らせを受け取って此処から出発すればなんとか」


「はい、一番飛ぶのが速いお友達にお願いしたので、大丈夫だと思います、です。」

 


昼間の焦燥が解消されていく。隠さなければならない事情はそのままだが、取りあえずの目処はついたのだ。

 


「で、アニスの処分はどうしますか?イザナ様は何と?」

「はい、アニスはイオンに任せる、と。どうします、か?」


「・・・・そうですか、・・・では、この件はラクス殿と相談して決めましょう。アニスのスパイ疑惑が確定したらどの道マルクトに引き渡す必要がありますからね。タルタロスの件で」


「わかりました。では、そう伝えます、です」


「それで貴方はこのまま、僕の守護役、でいいんですね?」


「はい、キムラスカに着くまでアリエッタが守護役を引き継ぐことになります。よろしくおねがいします、です。」


「よろしくお願いします。(イザナ様は・・・機嫌が悪いでしょうねぇ)」


「イオン、どうかしましたか?」


「いいえ、なんでもないですよ。では、もうラクス殿がお待ちでしょう、食堂に行きましょうか。」


「はい、・・では、イオン様。失礼します、です。」




表情を切り替えてきびきびと付き従うアリエッタに、イオンも導師としての表情を貼り付ける。昼間は忙しく走り回るラクスも夜には屋敷に戻ってルーク達に顔を見せているのだ。だから何か話があるのなら夕食後に訪ねるしかない。疲れているだろうところに申し訳ないが、少しでも朗報を持って言って話を先に進めよう。



(ラクス殿には悪いですが、・・これもジェイド・カーティスの同胞ということで諦めていただきましょう)



慈愛に満ち溢れる笑みの下で、意外と言うか当然というかひっそりと厳しいイオンの線引き。こういうところがカナードに、腹黒いと嘆かれる要因なのである。・・・やっぱり、イオンも権力者のひとりであるということだろう。

 


(まあ、アニスの件を含めても、・・・まだダアトのカードが優勢、ですね。ああ、早くモースを引き払いたいです。)

 


物騒な呟きを余所に、見た目だけは平穏なマルクト有数の観光地の夜は更ける。

 

















 

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書きたい物を書ける時に好きに書き散らしてます。文頭には注意書きをつける積りですので、好きじゃない、と思われた方はこのHPを存在ごとお忘れになってください。(批判とかは本当勘弁してください。図太い割には打たれ弱いので素で泣きます)



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