忍者ブログ
Admin / Write / Res
主人公総受け至上主義サイトです。特にエ/ヴ/ァの・碇・シ・ン・ジ・の女体化verが贔屓されてます。EOE後女体化したシンジが他世界へ渡る設定のクロス作品がメインです。(で、他作品キャラに物凄く愛されてます。)
<< 03   2024/04   1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30     05 >>
[98]  [97]  [96]  [95]  [94]  [93]  [92]  [91]  [90]  [89]  [88
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


ちょっと思いついたので書いてみましたな小話。

*小ネタで呟いていた『虹の麓の物語』に『月色の御伽噺』を混ぜたら?な思いつき小話です。
(つまり、アビス世界にスレナルと碇レンが居た場合、なお話)


*ルークの性格が少し冷め気味?な感じで身内とそれ以外の境界がはっきりしてて、それ以外には少し冷たいです。


*PTとイオン様にきびし目(すみません。イオン様は好きなはずなんですけど、なんか最近思いつくネタだと、どうしてもイオン様に物申したい箇所がちらほら出まして)

*特にティアに厳しいです(暴力表現もでます)

*オールドラントで傭兵やってる木の葉メンバー設定で、ナルトとレンがルークの迎えにいった場合。
(レンは『月色のお伽話』仕様です。つまり、普段は優しいですが、大事な人を傷つけられると勢い良くプッツンします。敵には微塵の容赦もありません。当然如くPTは敵カテゴリです)

上記の前提をご承知くださった上でご覧ください。苦情批判は受け付けられません。















 

 

 

「ガイ様、華麗にさんじょ、」


「「ルーク様!!」」

 

六神将中妖獣のアリエッタ率いる魔物に囲まれていたルーク達。手詰まりか、と眉を顰めた時タルタロス上部と傍の草陰から三つの影が飛び出した。上部から飛び降りて何やら叫んだ一人は、内二人の叫びに台詞を遮られて些か間の抜けた体だ。だが、とにかく味方である。特に草陰からの二人の内一人は素早くルークを庇う体制をとり、一人は一瞬で全ての魔物と神託の盾騎士団を倒してみせる。その手腕には慇懃無礼が標準装備のジェイドすら瞠目するしかない。それぞれが驚愕に固まる中で、ルークが表情を輝かせた。


 

「ナルト!レン!来てくれたのか!?」


「みゅ?誰ですの?」



「はい、遅参いたしました事お詫び申し上げます。
 碇レン、渦巻きナルト、ルーク様をお迎えに上がりました。
 膝もつかぬご無礼申し訳ございません。」

 


ルークを庇う体制を解かないまま、黒髪の少女が淡々と答える。
敵を警戒する為立ったまま首だけを巡らせたレンの表情が、微かに歪む。普段は温和で感情表現が素直だが、任務中は人形染みた無表情で完璧に己を律するレンが微かでも感情を洩らすほど、礼を失した挨拶を申し訳なく思っているらしい。だが、それは当たり前の事だ。戦闘中に動きを制限されるような姿勢をとれないのは仕方ない。理解しているルークは勢い良く首を振って、レンの謝罪を制する。その勢いに、肩の上のミュウが転がりそうになったのを、落ち着いた手つきでレンが受け止める。ミュウを受け取りながら、ルークが安堵に綻ぶ声をあげた。


 

「気にすんな!ありがとう、大変だったろ?」


「ありがとうございます。
 いいえ、そのようなことは、・・ルーク様、もう少しお下がりください。」



ルークの言葉に瞳を和ませたレンが、再び前を向いて後退を促す。神託の盾騎士団の一般兵と魔物たちは一掃したが、幹部であるリグレットとアリエッタは辛うじて意識を保っている。殺さない程度に手加減した為気絶まではさせられなかったらしい。やっている事は暴徒と変わらないが実力はあるのだろう。だが、イオンは既にナルトが奪還して、間抜けにも立ち尽くしたもう一人の乱入者に押し付けてある。あとはリグレットらを拘束するだけだ。冷然とナルトが言った。


 

「さて、お前達、ルーク様に刃を向けて生きて帰れるとは思っていないな?」

 


仮にもダアトの幹部なのだからこの場で殺すのは不味い。だが、脅すくらいはしても罰は当たらないだろう。・・・ナルトとレンは、本気で怒っているのだ。この、忌々しい現状に!


 

「ま、待ってください!どうか彼らに余り乱暴な事は・・・!」



ナルトの本気の殺気に、リグレットが表情を強張らせ、アリエッタが怯えて首を竦ませた。二人は本能で、目の前の金髪の少年には決して敵わない事を察知して死を覚悟する。
 

そこで、顔を青ざめさせながら、先ほどまで人質に使われていた筈の導師イオンが声をあげた。リグレットとアリエッタが僅かに緊張から解放される。安堵は出来ないが、導師を無視してまで殺される事はないと気づいたのだろう。緊張は解けないが、恐怖はなかった。
それを見たナルトは、導師に向けて冷めた視線を流すが無反応のまま目前に殺気を放ち続ける。レンも導師の声に一瞥もしない。ルークだけが複雑な視線をイオンに向けるが、レンの傍は離れなかった。


 

「貴方達、何なの?!行き成り、」


「まあ、助かったのは事実です。
 魔弾のリグレット、妖獣のアリエッタにはタルタロスに入っていただきます。武器を捨ててください。」



空気を全く読まない声が二人分増え、更に緊張感が破砕された。これ以上は脅す意味もなし、とナルトが警戒だけをしたままルークの傍に下がる。キンキンと響く高音で叫んだ栗色の髪の女軍人が、ナルト達に詰問し、ジェイドが余裕ぶった態度でリグレットらをタルタロスに閉じ込める。


 

「しばらくは全ての昇降口が開かないはずです。・・・それで、貴方方は、」

 


眼鏡を押し上げつつ説明したジェイドが、ルークの傍の二人に視線を向けるがレンもナルトも無視してその場に跪く。

 


「改めまして、碇レン、ルーク様のお迎えに上がりました。
 お待たせして申し訳ございません。」


「お久しぶりにございます。
 シュザンヌ様よりルーク様の御身を護る役目を賜りました。渦巻きナルトにございます。」


 

恭しく頭を下げる二人。無視されたジェイドは僅かに面白く無さそうに眼鏡を押し上げ、ティアはあからさまに眉を吊り上げ、イオンは狼狽して視線を往復させ、乱入者最後の一人は呑気に苦笑した。


 

「いや、良く来てくれた。二人とも顔を上げろ。発言も許す。迎えご苦労だった。」

 


ルークは、今度こそ安心しきった声でレン達を労った。弾んだ声が外見年齢よりも幼くて、本当にはしゃいでいると分かる。肩の上の青い聖獣が、にこにこと笑う。主と慕うルークの喜びを感じているのだろう。その無邪気な一人と一匹に、レンとナルトは許可を得て立ちながら、内心で苦笑する。相変わらず可愛らしい依頼主に二人の苛立ちが僅かに治まる。とにかく無事にルークに再会できた事にはほっとした。


 

「あ、と、こいつはミュウって言って、えと、俺に仕えてくれることになって、」


「はじめまして、ミュウですのー!ナルトさんとレンさんですの?」



「はい、始めまして。碇レンと申します。」


「渦巻きナルト。よろしく、ミュウ?」


「よろしくですの!」

 



元気良く挨拶されて、優しく返すレンと、素っ気無く自己紹介するナルト。嬉しげに耳を揺らすミュウに、ルークが軽い笑い声を上げる。


その和やかな再会に水を差したのは、空気を全く読まない不本意な同行者達だ。たちまちレンの表情が温度を失くし、ナルトの眉が鋭く吊りあがった事にも気づかない。無邪気に見えて、気配には敏感なミュウが大人しく口を噤む。ルークは二人の変化にある程度耐性がある為苦笑に留める。やっと、これまでの疲れる旅路から解放されると言う確信に安堵の溜息を洩らしてレンの傍に心持身体を寄せた。



 

「おいおい、相変わらず硬いな二人とも。もっと気楽にしたらどうだ?それにしても探したぜ、ルーク。まさかこんな所に居るとはな」


「あ、ああ。えと、ガイも、良く来てくれた。」

 


先ほどタルタロス上部から降ってきたガイだ。レン達に爽やかに笑いかけると、ルークに向かって気軽な言葉を投げた。ナルト達の内心を敏感に察知して頬を引きつらせているルークに全く気づかずガイが笑う。その気安い態度に、冷え冷えとした視線を投げるナルト。

 



「ところでイオン様。アニスはどうしました」


「敵に奪われた親書を取り返そうとして、魔物に船窓から吹き飛ばされて・・・。ただ遺体が見つからないと話しているのを聞いたので、無事で居てくれると・・・・」


「それならセントビナーに向かいましょう。アニスとの合流先です」



「セントビナー?」



「此処から東南にある街ですよ」

 

 


横ではジェイドがイオンに話しかけ、当然の様に行き先を決める。怪訝な声をあげたルーク。イオンがにこやかにルークに答える。

 



「ああ、それは知ってるけど・・・(何で、守護役のアニスとの合流地点をジェイドが決めてんだ?良いのかそれ)」


「ご主人様?」

 


言葉を濁して、迷うように口を閉じたルークを不思議そうに見上げたイオン。ルークの肩の上で、首を傾げたミュウが転げ落ちそうになる。

 



「そちらさんの部下は?まだこの戦艦に残ってるんだろ?」


「生き残りがいるとは思えません。証人を残しては、ローレライ教団とマルクトの間で紛争になりますから。」


「・・・何人残ってたんだ?」


「今回の任務は極秘でしたから、常時の半数・・・百四十名程ですね」


「百人以上が殺されたって事か・・」

 



ガイの質問に、起伏のない声でジェイドが答えた。痛ましげに人数を聞いたルークに、ジェイドが答えガイも肩を落とす。

 


「行きましょう。私達が捕まったら、もっと沢山の人が戦争で亡くなるんだから・・・」

 


雰囲気に合わせるように冷静な声が促して歩き出そうとする一行。

 


「「お待ちください」」



それを、ルークの傍で控えていた二人が遮った。同時にレンがさり気無くルークを引き止める。不愉快そうに顔を顰めたジェイドらが振り返った。イオンも首を傾げている。

 



「なんです?我々は急がなければならないのですが。」


「貴方達早く行くわよ。」


「おいおいどうしたんだ、三人とも?」


「あの、ルーク?」

 



レンにルークを任せ、ナルトが一歩前に出る。

 


「なる、」


「申し訳ございませんルーク様、しばしご辛抱ください。」



手を伸ばしかけたルークを、レンがそっと制してナルトの背中越しに怪訝な表情で此方を睨む面子を眺めた。

 



「何故、ルーク様が、アンタ達と共に行かなきゃいけないってば。」


「何を言ってるの?私達は、」


「黙るってばよ。アンタには聞いていない。・・・いや別件で聞くべき事はあるってばね。
 それよりも、そこのマルクト軍人。答えるってばよ。」


「な?!」



冷たく言い捨てたナルトに敵意が集まる。声は冷え切っているのに、少年らしい砕けた物言いでにっこり笑いかけてみせた。馬鹿にしているのかと、たちまち怒りを立ち上らせた表情でティアが言うが、一言で斬り捨ててジェイドに視線を合わせるナルト。おろおろとイオンが視線を泳がせて、ガイが困ったように苦笑している。・・何を当然の様に向こう側についているのか。ルークを宥めながら、レンが溜息を洩らす。


 

「ああ、確かに事情は説明していませんでしたか。我々は、マルクト皇帝ピオニー・ウパラ・マルクト9世陛下から和平の親書を預かり・・・」


「和平?・・・・まさかアンタが和平の使者、なんて言うつもりじゃないってばね?」


「そのとおりですが、何か?」


「何か、?・・・ふざけんな!!冗談も大概にしろ!!」

 


鋭くジェイドを睨み据えたナルトが口調を任務仕様に戻して怒鳴る。
それに押されて声が出せないティアとイオン。ガイも僅かに肩を揺らす。
ルークは驚愕した表情でナルトを見るが、恐怖はない。
何があっても、レンとナルトがルークを傷つけることはないと知っているからだ。

 

 


「それはどういう意味ですか。此方に仲介を依頼した導師もいらっしゃると言うのに、そのような、」


「仲介?ダアトの導師に?・・それは益々信じられないな。」


「な、貴方導師イオンになんて無礼な!」


「おいおい、ナルト、お前それはあんまりにも」


「(あ、そうか。そうだよな。)」

 

 


ワザとらしい不信の表情でジェイドに返したナルトに向かって、ティアとガイが騒ぐ。
ルークが、密かに肯く。確かにイオン本人は善人で和平への意思も本物だろうが、ちょっとダアトのTOPである自覚が足りない。

・・・・ティアとルークが、何故、此処に一緒に居るのか、全く考えていないのだろう。
ティアを己の部下として庇う事による諸々の弊害も。

 


 

「ガイ、お前はルーク様が誘拐された現場に居たと聞いたが、犯人を見ているな。」


「あ、ああ、それは見たが、」


「そこの女、・・・・そいつの特徴が聞いてきた誘拐犯と一致するんだが?」


「あ、そういえば、君、」

 


今更ティアを見返すガイ。

 


「・・・誘拐、とはどういう、」


「ちょっと、失礼なこと言わないで!私がルークを連れ出してしまったのは事故よ!」


「本気で言ってるのか?」


「ま、まあまあ、ナルト、先ずは事情を聞いてからでも、」


「ルーク様、貴方を誘拐した犯人は、この女ですね?」


「そう、だけど。」

 



疑問の声をあげたイオン。甲高い声で反論するティア。冷たく聞き返したナルトを宥めるような仕草をしてティアに笑いかけるガイ。その様を侮蔑の視線で見てから、ルークに確認を取るレン。ジェイドは無関心に佇むだけだ。躊躇いつつ肯くルーク。


 

「・・・・で、マルクト軍人。何か言う事は?」


「何、とは?」


「・・・・お前、その軍服は飾りか。」

 


傍観者に徹しようとしたのか無言だったジェイドにナルトが問う。それに本気で怪訝そうに返されて、眉を跳ね上げるナルト。

 


「本気で言ってるのか。軍人の本分を何だとおもっている。しかもお前は和平の使者だと名乗ったな。マルクトが和平を申し込む相手はキムラスカだろう。それともルーク様のご身分を知らぬゆえの言葉か?」
 

「ルーク・フォン・ファブレ様でしょう?
 キムラスカ王室と姻戚関係にあるファブレ公爵のご子息。」


「ならば、何故、その女を捕らえない?!」


「何故私が、ティアとルークの事はキムラスカの事情でしょう。私には関係ない。」


「・・・・、ガイ、お前は?」

 


軍人が犯罪者を捕らえるのは義務だ。たとえ他国の人間だろうと、犯罪者であると発覚した時点で捕縛するのが当然である。被害者が王族ともなれば尚更被疑者確保は最優先事項になるはずではないのか。にも拘らず、軍服を着た人間が、それを関係ないと言い放ったのだ。ナルトもレンも、ジェイドに本気で失望した。これが、マルクト皇帝の懐刀。
 

次いで、ぼけっと立っているだけのガイにも聞いてみる。

 


「は?えと、だからティアに事情を---」


「だから、誘拐なんてしていないと言って」


「導師、何かお言葉を」



全く理解できていないガイの言葉を途中で遮ってイオンにも問いを向けるナルト。騒ぐだけのティアは無視する。

 


「えぇと、ティアにも何か事情があったのでしょうから、」

 


「よく、わかりました。」

 



気弱な笑みでティアを庇うイオン。その言葉を遮って、黙って会話を聞いていたレンが口を開いた。


これ以上、彼らの言葉を聞く価値など微塵もないということが、とてもよく理解できた。

 



「ルーク様、参りましょう。キムラスカからマルクトにルーク様の捜索を保護の依頼がされているはずですから、先ずは最寄の街で連絡を。 シュザンヌ様も心配なさっているでしょうから、早く帰らなければ」


「あ、ああ。そうだな。えと、レン?大丈夫、か?」


「まあ、お気遣いいただきありがとうございます。勿論です。では、最寄の街はセントビナーですね。そちらで鳩を借りましょう。 確か軍施設が在るはずですから、直ぐにグランコクマにも連絡をいれていただけるでしょう。」




任務中は決して表情を動かさないはずのレンが、満面の笑みでルークに話しかけた。ルークは反射的にレンに笑い返しながら、額に浮かんだ冷や汗を拭う。この笑い方は、不味い。助けを求めてナルトを見るが、直ぐに視線を逸らす。だって、ナルトも笑っているからだ。

 


「(目が、全く!笑ってねぇけどな!!)」


「みゅうぅぅぅ」



ルークの肩の上で、ミュウが怯えきって身を縮めている。

 



「待ちなさい!貴方達、勝手な行動はしないで!」

「おやおや、お坊ちゃまは約束も守れないんですか?」

「おいルーク、お前勝手に動くなよ。」

「ルーク?!あの」

 


タルタロスまで同行していた面々が侮蔑の軽蔑の疑問の焦燥の声をあげる。

だがレンは全く意に介さず、ルークを促して歩きだそうとした。ナルトは口元だけで笑んで四人の歩みを遮る。得たいの知れないナルトの迫力に押されたティアが踏み出しあぐね、悔し紛れに叫んだ。



「ルーク!・・・これだから傲慢な貴族は!」

 


「「黙れ!!」」


「きゃあぁぁ!!」

 


ティアの悲鳴が響く。騒いでいた面々が思わず口を閉じて振り返ると、勢い良く街道沿いの木に打ち付けられるティアの姿が。視線を戻すと笑顔を浮かべたまま掌を此方に向けているレンと、振り上げた足を下ろすナルトの姿が目に入る。


 

「・・・・おお、流石レン。詠唱破棄か。発動が前より早いな。ナルトの動きも見えなかったし。」

 


ポツリと落とされたルークの言葉で事態を悟る。つまり、ティアがルークに悪態を吐いた瞬間、レンが譜術を発動させ、ナルトが蹴り飛ばした、ということか。何が起きたのか、全く把握できなかったジェイドが悔しげにナルトを睨み。ガイが慌ててティアに駆け寄り、イオンが恐怖に身体を震わせた。

 


「な、なんてことするんだ?!二人とも、ティアは何もしてないだろう?!」

「あ、あのこれは酷すぎます!」


 

抗議の声をあげるイオンとガイ。

 

 

「何も、していない?・・・・ふざけるのも大概になさい!!ガイ!貴方はルーク様の従者のはずでしょう?!何故、その女の味方のように振舞うんです?!その女はルーク様を殺しかけた大罪人でしょう?!」



「な、なんの、こと」

 


レンがたまりかねたように叫ぶ。憤りの余り震える声で、ティアを示してガイを睨み据えた。ティアに向ける視線には憎悪すら篭っている。その言葉に、ガイに助け起こされたティアが抗議する。


 

「事実だってば?その女は、あろう事か譜歌を使用してファブレ公爵邸の家人を全て眠らせ、庭でダアトのヴァングランツ謡将と剣術の稽古中だったレーク様に刃を向け、その接触により起きた擬似超振動で、ルーク様の身柄をマルクトに飛ばした。・・・・紛う事なき犯罪者。

キムラスカ刑法に照らし合わせれば、どう減刑したところで一族郎党斬首決定の大逆人だってばね?アンタらはそれを庇う意味を、承知の上で先ほどの台詞を口にしたのか?」
 

「言いがかりはよして!」

 


尚も喚くティア。

 


「何処が言いがかりですか。貴方がしたことは、どれをとっても実刑確定の犯罪行為ばかりでしょう。

 ファブレの警備兵及び使用人に対して譜歌を使用した事は、不特定多数にたいする傷害行為。ファブレのお屋敷に無許可で足を踏み入れたんですから不法侵入。 稽古中のルーク様とヴァンに向けてナイフを向けたときに「ヴァンデスデルカ覚悟!」と叫んだことから、ヴァングランツに対する殺人未遂。 更に、ヴァングランツを庇ったルーク様にナイフを向けた以上、ルーク様に対する殺人未遂。 で、極め付けが擬似超振動でルーク様の身柄を遠方に運び去る誘拐。・・・・何処が、言いがかりなのか、是非聞かせていただきたいですね?」


「だから!ヴァンを討たなければならない理由があったのよ!仕方ないでしょう?!ルークを連れ出してしまったのは、事故じゃない!誘拐なんて、」



「・・・・イオン様、これは、こう申しておりますが、まだ、庇われますか。」


「い、いいえ!ダアトは、ティア・グランツをキムラスカに譲渡いたします!申し訳ありませんでした!」



温度の無い瞳でイオンを見据えるレン。イオンは真っ青になって辛うじて声を絞り出した。改めてティアがした行為を列挙されると、それがどれ程不味いものか理解できてしまった。先ほど、ティアを擁護する発言をしてしまったことの重みも。


 

「ガイ。」


「いや!そう、だな。ティアのしたことは、流石に、」



「マルクト軍大佐殿。」


「確かに、ティアは犯罪者ですね。」



視線を流して其々に確認するレン。最後にティアを見据える。

ナルトの青い瞳と、レンの深紅の瞳が、等しく怒りと侮蔑を浮かべてティアに集中する。ナルトが一歩踏み出すと同時に、耐えかねたように声高に反論するティア。


 

「・・・・!ふざけないで!だから、傲慢な貴族は嫌なのよ!気に入らない事があると権力にモノを言わせるようなまねを、

っかは!」


 

吹き飛ばされたダメージを、自分で発動させた回復譜術で治し、レンとナルトを罵り、背後に庇われるルークを睨むティア。無言で目を眇めたナルトが、今度こそ容赦なくティアを殴り飛ばす。再び木に叩きつけられるティア。肋骨の数本くらいは折れたかもしれない。声も出せずに悶絶する姿を冷たく見下ろすナルト。ルークは、痛々しげに眉を顰めたが、ティアを庇いはしなかった。

道中散々、ティアに犯罪者の自覚を持てと言ったのに、尽く理不尽な反論をされ続けた為、今更だと溜息を吐く。どれだけ庇ったところで本人と親族の処刑は免れないのだ。無言で成り行きを眺めるに留めた。・・・ナルトとレンが怒っているのは、自分を心配してくれたからだと気づいて、少し嬉しかったとはルークだけの秘密である。



「(・・・本当はかなり嬉しいなんてぜってぇ言わねー)」


「みゅ?」


「何でもねぇよ。」



澄んだ瞳で見上げるミュウをぐりぐりと撫でて、レンの後ろから様子を窺うルーク。
基本的には気さくで誰にでも優しいルークだが、それを向ける相手は選ぶ。
イオンは微妙だが、残りの彼らはその対象から外されたのだ。ルークが気遣う理由はなかった。

 


「(イオンは、個人としてなら好きなんだけどなぁ。・・・でも導師なんだよな。)」

 


複雑な思いを持て余して溜息を吐いたルークの目の前で、レンがナルトに続いて加減なしの譜術を解放した。
声もあげられず直撃を受けたティアを見下ろして言い放つ。

 


「まだ、そんな事を言いますか。

 だったら、ルーク様の護衛ではなく、ルーク様の友人として言わせて貰いましょうか?


 ・・・・貴方は、ルーク様を殺しかけたんですよ!ルーク様がご無事なのは、純然たる幸運に寄るものです!
 貴方がファブレ侵入の際使用した譜歌で、眠らされたルーク様が倒れる時に地面に頭でも打っていたら?貴方が向けたナイフを交し損ねていたら? 擬似超振動の再構成が失敗していたら?これまでの道中、魔物に襲われて負けていたら!タルタロスの襲撃で、逃げ損ねていたなら?!


 ・・・・どれ一つとってもルーク様のお命を脅かす行為でしょう?!全て、貴方の行動の結果です!
 貴方の所為で、大事な友人が死ぬかもしれなかったんですよ!怒りを感じるのは当然でしょう!!


 貴方をこの場で殺さないのは、公の場で貴方の罪を裁くためだけです!理解したなら大人しくしてなさい!!」

 



レンは怒りに任せて言い切った。


しん、と辺りが静まり返る。
誰一人声を出せない。
ナルトすら呆然とレンを見るだけだ。


レンが握り締めた拳から血が滴る。
力を入れすぎて、掌を傷つけたらしい。




「レン。」



ルークが静かに声をかける。かけられたレンは、一つ大きく深呼吸して、ゆっくりと振り返りルークに深く頭を下げた。

 


「申し訳、ございません。差し出た真似をいたしました。お見苦しいところをお見せして、」


「謝るな。」

 


静かに謝罪するレンを、ルークは穏やかに遮った。まだ呆然としたままのナルトも傍に呼ぶ。慌てて駆け寄るナルトと、顔を上げないレンの手をとって握り締める。ナルトは苦笑してルークに掌を預ける。レンが慌てるが、強く力を入れて離さないルーク。掴んだ手を軽く引き寄せると、ルークは二人に視線を合わせた。



「迎えに来てくれて、ありがとう。嬉しかった。・・・一緒に、帰ろう」

 


そうして花が綻ぶように、穏やかで華やかな笑みを浮かべると、そっと囁いた。
ぽかんと口を開けて見返すレンと、ナルトを引いて歩き出す。

 


「ガイ。」



「あ、ああ、なんだルーク?」

 


振り向かないまま、ガイに声をかけるルーク。慌てて返事をするガイの口調にナルトが眉を顰めるが、ルークは気にせず指示をだす。

 



「ティアを捕まえておいてくれ。多分マルクトの軍から人を貸してもらえるだろうから。お前は、ティアと一緒に戻れ。」


「あ、ああわかった・・・」


「じゃあな」

 


ルークは動揺がぬけていないガイに、必要な命令だけを残してセントビナーを目指す。
いつも自分を親友だと笑うガイが、あんな風に呆然とするだけなのを見ても、今更落胆はしなかった。

今のルークには、両手に感じる温もりがあれば大丈夫だと、笑うことができるのだ。
だから足取り軽く街道を歩く。

レンがやっと状況を認識してうろたえるのが可笑しくて声をあげて笑う。
ナルトと顔を見合わせてくすくすと笑っていると、少しすねた表情で俯くレンが口元を綻ばせた。

 

 


「二人とも、迎えに来てくれてありがとう」

 


「どういたしまして、だってばよ」

「・・・どういたしまして」

 


改めて礼を言ったルークに、少しだけ顔を見合わせたレンとナルトが、其々言葉を返した。

護衛でなく、友人として。

 

 


「じゃ、帰るぞ!」

 

 
















 

拍手[2回]

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret(管理人のみ表示)
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
プロフィール
HN:
性別:
女性
自己紹介:
ここは女体化シンジ(碇レンorシオン)溺愛サイトです。クロス・逆行・分岐に関わらず、レンorシオンが贔屓・溺愛されてます。(クロス作品では他作品のキャラと恋愛有(むしろメイン))
書きたい物を書ける時に好きに書き散らしてます。文頭には注意書きをつける積りですので、好きじゃない、と思われた方はこのHPを存在ごとお忘れになってください。(批判とかは本当勘弁してください。図太い割には打たれ弱いので素で泣きます)



二次創作サイト様に限りリンクはフリーです。ご自由にどうぞ。








このサイトを少しでも気に入ってくださったらぽちっと押してくださると嬉しいです。
また、何か御用が御座いましたらメール代わりにご利用ください。返信は雑記でいたします


現在の拍手お礼:一ページのみ(ティアに厳しい。ちょっと賢く敵には冷酷にもなれるルークが、ティアの襲撃事件について抗議してみた場合:inチーグルの森入り口)
カウンター
フリーエリア
最新トラックバック
バーコード
ブログ内検索
P R
アクセス解析
Copyright ©  鶴群の一鶏 All Rights Reserved.
*Material by Pearl Box  * Template by tsukika
忍者ブログ [PR]